先日、休日にテレビをつけていると、「小さな旅」という番組が放送されていました。
播磨灘に浮かぶ家島諸島の坊勢島という2000人ほどが暮らす島が舞台です。
漁業を生業とするこの島では、人口がこの20年で4割も減ったといいます。
人口減少は漁業にも影響を及ぼし、現在漁業にはインドネシアの若者がついています。
そのうちの1人ウリル・アル・バブは、5年前に技能実習生としてこの島にやってきました。
特定技能を取得した今も水産会社で働く彼は、日本語も魚を捌くのもお手のものになっています。
お金を溜めて将来的にビジネスを立ち上げたいというウリルさん。現在は同じインドネシア出身の人達と共同生活をおくっています。
ウリルさんはこの5年間、故郷には1度しか帰っていないのだそうです。
そんなウリルさんを先輩漁師の妻たちが気にかけ、定期的に家を訪問してくれます。
ウリルさんたちは彼女たちを「日本のお母さん」と慕っています。
ウリルさんは20歳の時、先輩漁師たちが買ってくれたスーツを着て成人式に出席しました。
新たな人を迎え入れながら、島の営みは続いていきます…。
こんな情景が映し出される画面を見ながら、技能実習生が地域に溶け込んで日本で生活をしている姿にほっとさせられました。
Dim Houさんによるpixabayからの画像
インドネシアをはじめベトナムやタイなど、東南アジアの人達のなかには、「日本はいい国だ」との褒め言葉を投げかけてくれる人達が多くいます。
しかし、技能実習生として日本にきた人達のなかには、「いい国だと思っていたのに」と失望の声をもらす人がいるのです。
いろいろと課題の多い技能実習制度、政府の有識者会議では、この制度を廃止し、3年の育成期間を経て、長期滞在が可能となる特定技能制度につなげる新制度の創設を盛り込んだ最終報告書をまとめたそうです。
日本に来て技能修得後に日本で働き、失望させずに日本の職場に溶け込んでもらって、「やはり日本はいい国だ」と思ってもらえる新制度を作ってもらいたいものです。