今年も年度の切り替わりに、何人ものスタッフが退職しました。
毎年のことではありますが、今年は特に退職者が多いような気がします。
先日の春闘では、大企業が5%台の大幅賃上げを決めましたが、私たちのようなNPO団体では、賃上げもままなりません。
久しぶりに事務所に行ってみると責任者から、内定していたはずの方から土壇場になって辞退の連絡があったとのこと、責任者は頭を抱えています。
Ronny Overhateさんによるpixabayからの画像
そういえば長年一線で活躍していてくれた女性が、数か月前に退職したことを思い出しました。
彼女は職場には愛着をもって働いてくれていたのですが、子どもが高校・大学と進学の時期にさしかかり、もう少し報酬の高い仕事につかないと、家庭のやりくりが大変だということで、転職を決めたようです。
国は“物価と賃金の好循環”などといいますが、このままでは私どものような団体は、運営することもままならなくなります。
昔からこの業界では“寿退社”という言葉があるようです。
今や結婚が決まった女性が、家庭に入るために退職をするという意味の“寿退社”という言葉は死語になってしまいましたが、NPO団体などでは男性スタッフが、結婚を機に、家庭を守るために、より条件の良い仕事を求め転職するという現象は、今でも健在です。
特定非営利活動促進法、いわゆるNPO法は特定非営利活動を行う団体に法人格を付与することにより、ボランティア活動をはじめとする市民の自由な社会貢献活動としての特定非営利活動の健全な発展を促進することを目的として、平成10年12月に施行されました。
以来26年の月日が流れました。
NPO団体の活動の性格により、寄付金を中心に運営を行っている団体もありますが、大半は国や地方自治体からの委託を受けて活動を行っています。
これまでは、長い間のデフレ経済下で、何とかやりくりをしながら活動を維持してこれたのですが、このところの急激な物価高騰のなかで、スタッフの生活を守り切れることが困難になっているのです。
NPO活動は、いまや日本の諸課題に対応するうえで大きな役割を担っています。
“物価と賃金の好循環”と政府が唱えるのであれば、中小企業同様、そこで働く人達の生活を守ることに目を向けてほしいものです。