時おり江戸時代の長屋暮らしをしている人々を題材にした小説を読むことがあります。
落語に出てくる「ハッつぁん、クマさん」の世界で繰り広げられるようなドタバタ劇は、布団に入ってから眠りにつくまでの、ゆったりと心落ち着かせる時間をもたらしてくれます。
火事と喧嘩は江戸の華というように、木造作りの家屋が立ち並ぶ街では、頻繁に火事が起きていたようです。
武家屋敷はともかく、九尺二間の長屋では最低限暮らすだけのモノしか置いていませんでしたから、火事が起きれば身一つで非難することができます。
宵越しの金を持たずに、金がなくなれば稼げばよいといった町民がたくさんいたようです。
モノを持たなければ気楽な生活を送れるのでしょうか。
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金やモノをため込むと、何かと心配事が増えて、安穏とした生活を送れなくなるのかもしれません。
最近、広域強盗事件が問題になっていますが、彼らは資産をもった裕福なお年寄りを狙い撃ちにして、犯罪を繰り返しています。
人生50年の江戸時代とは違って、長寿社会に身を置く私たちは、長い老後の不安が付きまといます。
取られるものなど何もない長屋暮らしの江戸の町民は、助け合いながら、貧しいながらも楽しい生活を送っていたのでしょう。
すべて金で解決しようとする現代では、金がないことが即不幸に繋がるといった短絡的な思考に走りがちで、卑劣な犯罪に手を染める若者を排出してしまいがちなのかもしれません。
わずかな年金で生活している身としては、激しい物価高に翻弄されながらも、これまでの支出の一つ一つを見直して、使わなくても良いものを洗い出す良いチャンスだと思えば、心も落ち着きます。