団塊おんじ 人生100年時代を行く!

長く生きるかではなく、どう生きるかの試行錯誤録

トランプ支持と差別感情

「オバマ元大統領は、どこで生まれた?」

 

 読売新聞アメリカ総局長の今井隆氏は、7月以降、トランプ前大統領の選挙集会などを取材した際、支持者計20人にこの質問をぶつけてみました。

 

 返ってきた答えは、14人が「ケニア」あるいは米国外、5人が「分からない」などと言葉を濁し、正解の「米国ハワイ州」は1人だけだったそうです。

 

 歴史家のアン・アプルボーム氏は著書「権威主義の誘惑 民主政治の黄昏」の日本語版序文に、米国人のほぼ3人に1人がオバマ氏は米国生まれではないという陰謀論を信じ、トランプ氏の「支持基盤になった」と書いています。

 

 支持基盤となった白人層支持者が抱くのは差別感情です。

 

 奴隷制に始まる歴史的要因や異人種への優越意識など、理由は様々あろうと思われますが、注目すべきは彼ら白人が抱く「被害者意識」であり、そこから生じる異人種への攻撃的態度です。

                          Free-Photosさんによるpixabayからの画像

 

  人種差別に抗議する「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命は大切だ)」運動は、差別的な白人警察官を糾弾しました。

 

 大学の入学審査時に黒人らを優遇する「アファーマティブ・アクション(積極的差別是正措置)」では、白人がしわ寄せを受けてきました。

 

「なぜ白人が攻撃されたり、損をしたりしなければならないのか。逆差別だ!」と抗議の声をあげる白人も多くみられました。

 

 トランプ氏は今回4つの事件で起訴されていますが、主導した黒人検事長らを「人種差別主義者」と決めつけ、呼応した支持者は彼らを強迫までしているといいます。

 

 多様性やマイノリティー(人種的少数派)を重視するバイデン政権は、敵も同然です。

 

 そんなトランプ氏は、大統領選の共和党指名候補争いにおいて、5割を超える支持率を保ち続けていて独走状態なのです。

 

 自国第一主義(アメリカファースト)を主張するトランプ氏は、パックスアメリカーナ(アメリカの覇権)を復活させたいと願う白人のアメリカ国民から熱烈に支持されているようです。

 

 その支持するエネルギーは、彼が法の秩序を無視しようとも揺るがないものなのでしょうか。