最近飲食店などで、大きな声で店員をしかりつけている客を目にすることが度々あります。
仲介しようと割って入る勇気はないので、遠目で見ているだけですから、何が原因でそうなっているかはわかりません。気になりつつも、そのまま店を出てしまいました。
私の遭遇した場面がそうだったかはともかく、最近、顧客が理不尽な要求を突きつける「カスタマーハラスメント(カスハラ)」が横行し、社会問題になっているようです。
Yamashinさんによるpixabayからの画像
消費者心理に詳しい関西大学の池内裕美教授(社会心理学)によると、00年代に食品や産地の偽装事件が多発し、企業に対する消費者の不信が高まりました。社会的な格差や高齢化などを背景に、不安や孤独感が強まり、他人への寛容さも薄まりました。
生活のなかで唯一、他人に強く出られるのは「客」の立場となった時で、不満のはけ口が店員に向けられやすくなっているのではないかとみています。
カスハラを研究する東洋大学の桐生正幸教授(犯罪心理学)は、「企業による過剰なおもてなし合戦も一因だ」と分析しています。
経済の低迷で企業間の競争が激化するなか、客離れやSNSへの悪評の書き込みを過度に恐れ「客を神様のように扱い、店側とのパワーバランスが崩れた」といいます。
窓口に権限のない非正規労働者が配置され、クレームに謝罪するしかない状況が事態を悪化させているとも。
桐生教授は「カスハラは、同じ相手に何度も嫌がらせをするという点でストーカー行為と共通する。悪質な場合は犯罪と捉えるべきだ」と断言します。
土下座の要求や脅迫的な言動などは刑事責任を問われる可能性があるとも。
国も対策に乗り出し、クレーム対応には複数人での対応をとることを促したり、今月には、労災の認定基準に、カスハラを新たな類型として追加し、救済の強化を図ろうとしています。
カスハラは労働者の人権に関わる問題ですから、各職場でカスハラの実態を把握したり、対応方法を共有したりして対策を講じ、労働者の安心につなげていってほしいものです。
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