いつの頃からか正規労働者・非正規労働者という分け方で働く人たちを区分するようになりました。
それ以前は、主婦などが家事の合間に働く「パートさん」がいて、それ以外は正社員という形で分けられていました。
正社員のなかでもジェネラリスト・スペシャリストという分け方はありました。
日本の企業は、ジェネラリストに社内業務全般を把握させ、組織の目指す方向をジェネラリストが中心になって、業務の責任を負わせ、頑張ってもらうというやり方で運営してきたのです。
それがフルタイム従業員のなかでも、正規・非正規という分け方をとれるようになりました。
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バブルが崩壊すると、企業を成長軌道に乗せるのは簡単ではなく、年功序列に基づいた人事制度は壁にぶち当たります。
人件費がますます企業の収益を圧迫し、競争力の低下を招いていったのです。
そうした問題を打破するために、従来の正社員とは賃金面で低いフルタイム労働者を認めることになりました。
そして、またたく間に非正規と言われる労働者が増えていきます。
人手不足の影響や政府の働きかけなどがあり、若干は比率が低くなったとはいうものの、2019年版の厚生労働省「国民生活基礎調査」によれば、男性正規率77.7%、女性43.6%という現状です。
その待遇格差是正に向け、「同一労働・同一賃金」を4月から大企業に適用しています。
そんな中、正社員と非正規労働者の待遇改善を訴えた2件の訴訟の最高裁判決が下り、いずれも原告敗訴となりました。
主な理由は、正規職員の業務内容は難易度が高く、人事異動もあるというものです。
企業は「責任の重み」といった理由をあげて、正社員と非正規労働者がたとえ同じ仕事をしていたとしても、待遇格差を正当化しようとするのでしょうが、それでは非正規労働者の不満は高まるばかりでしょう。
不満を持つ非正規労働者と正社員が対立し、組織が分断されるとなれば、組織全体のパフォーマンスを大きく損なうことになりかねません。
そもそも正規ではない労働者という意味の「非正規労働者」という言葉自体を抹殺すべきではないでしょうか。
パートさんは別として、同じ組織で働く人たちを同じ呼び名で呼び、人事評価などを厳密に行うことで、結果として格差ができるという順序で社員を遇する流れに早く持って行ってほしいものです。