団塊おんじ 人生100年時代を行く!

長く生きるかではなく、どう生きるかの試行錯誤録

民主主義国家の分断が止まらない

先日行われた米国の中間選挙では、民主・共和両陣営の激しい論戦が繰り広げられ、上院は民主が多数派を堅持、下院は共和党が多数派を奪還するという結果になりました。

 

争点の一つである「人工妊娠中絶」の是非においては、6月に連邦最高裁が、人工妊娠中絶の権利を認めた1973年の判例を破棄したことに端を発しています。

 

 トランプ前大統領が保守派の最高裁判事を次々と任命するという巡り合わせになったことが大きく影響しているのです。

 

 女性や若者が反発をし、民主党支持に回ったことが、民主党善戦という結果を招いたのでしょうか。

 

 米国のみならず、僅差の選挙結果や世論調査での一時の多数派を「ただ一つの民意」が示されたかのように扱い、異論を切り捨てようとすることで、分断が深まる国が後を絶ちません。

      Joschさんによるpixabayからの画像

 

「リベラルな福祉国家」と見られがちなスウェーデンでは、ネオ・ナチ運動が源流の極右が影響力を持つ政権が10月に発足しました。

 

 首相は穏健党から選出され、右派さえ警戒するスウェーデン民主党は閣外協力となったものの、政策協定には「反移民」の同党の主張が色濃く反映されました。

 

 スウェーデンの投票率は80%超えが当たり前で、今回も84%でした。

 

 投票が義務で罰金もあり、直近の総選挙の91%を「低下傾向」と嘆くほど高いオーストラリアはともかくとして、罰金なき80%超えは、有権者の政治参加意識の高さを示すものでしょう。

 

 税金を含む国民負担率がG7(先進7か国)では最も低い米国は、大統領選の投票率が60%前後、中間選挙は更に低く、50%以上はこの100年で1914年と前回2018年の2度だけです。

 

 今回は20年に民主党のジョー・バイデン大統領が勝った選挙自体を否定する共和党候補や支持者も多いと聞きます。

 

 まさに民主主義の足元が揺らいでいるのです。

 

 米国並みに国民負担率が低い日本の投票率も、似た水準です。

 

 有権者の半数が投票しない状況での“民意”とは何なのでしょう。

 

 今年の参院選で自民党を圧勝させた民意と、旧統一教会の問題で岸田内閣の支持率を下げた民意をひと塊に扱えるのでしょうか。

 

 都合のよい時だけ「民意」を切り出すやり方はフェアではありません。