人間関係が希薄になった時代といわれるようになって、随分時が経ったような気がします。
NHK放送文化研究所が1973年から5年ごとに実施している「日本人の意識」調査によれば、「親戚」や「職場」、「近隣」との付き合い方は、「全面的つきあい」が望ましいという人が減り、「形式的つきあい」がよいと考える人が増えているという結果が出ています。
また、ここ3~4年のコロナ禍で、非接触型の人との関わり方を強いられたことが、その傾向を一層助長したのではないでしょうか。
遡ること12年前、東日本大震災が起きた後には、身近な人との繋がりの大切さや、皆で助け合うことの重要性を、ほとんどの人達が強く感じた時期がありました。
未曽有の危機に直面すると、肩よせあって身を守り、協力しあう必要性に迫られるからなのでしょう。
しかし時が過ぎ、平穏な日常を取り戻すと、繋がりの大切さが忘れ去られてしまいがちです。
孤立に至らなくても、人とのつながりにくさを感じる人は多いのではないでしょうか。
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ここ数年、人と親しくなるハードルは上がっているなと感じます。コロナ禍で人と直接会うのを極端に減らしたあと、交流は完全には戻っていません。
タイムパフォーマンス(時間対効果)という言葉を耳にするようになってからは、他人に時間を使わせることに以前より慎重になり、人を雑談やお茶に誘うのを躊躇うことがあります。
先日、旧友から残暑見舞いを兼ねて近況を知らせるメールが届きましたが、こんな形でつながりを復活させるのもよい方法かもしれません。
最近では、孤立する人への支援や助け合いの仕組みをつくることの重要性が叫ばれるようになりましたが、必要とするつながりを得られずに孤立する人に、周りはどうつながればよいのでしょうか。
自分にできることはあるのだろうか、などと思い巡らせるのも、この時代のつながり方かもしれません。