またしてもコロナ感染者が急速に増えだしました。
さらに感染力が強いとされるBA.5への置き換わりが進んでいるようです。
またしても人々の感染への警戒は強まり、夏休みを前にして、旅行・観光関係者は気が気でないことと思います。
このまま感染者数が増大し続ければ、国や自治体からは「不要不急の外出は控えてください」という要請のメッセージが発せられそうです。
すでにこの2年間、コロナ禍のなかで修学旅行をはじめ様々な行事・イベントが中止され、何の思い出も作れないまま卒業を迎えた学生・生徒さんたちの悲痛な声を幾度となく聞きました。
また文化・芸能分野の関係者も大きな影響を受けています。
自分たちの活動を“不要不急”なものの方に整理されることに、やるせない思いを抱いている方も多いことと思います。
どうやらコロナウィルスとの闘いは、簡単に終わりを迎えることはないと覚悟しないといけないような気がします。
であるとすれば、私たちの人生を豊かにする活動を、ウィズ・コロナの生活のなかにどう取り込んでいけるのかを真剣に考える必要があるのかもしれません。
チェコの作家カレル・チャペック(1890-1938)は、第一次世界大戦下で最も人気の高かった国民的作家です。
ヒットラーと彼が率いるナチス・ドイツを痛烈に批判し続け、同じく作家の兄ヨゼフ・チャペックは、強制収容所で亡くなっています。
そしてカレル・チャペックは園芸家でもありました。
趣味の園芸を通じて「未来は私達の前にあるのではなく、もうここにあるのだ。未来は芽の姿で、わたしたちといっしょにいる」として、観賞用の植物を育て、次の年さらには数十年後の様子を夢見て、草木の手入れや土づくりにいそしみました。
1939年にはナチス・ドイツがプラハを占領します。その3月に、ゲシュタポがチャペック邸を襲撃しますが、踏み込んできた一同に、妻オルガは夫カレルが4か月前に没したことを、皮肉を込めて伝えたといいます。
チャペックが厳しい政治状況の中でも園芸の素晴らしさを書いたように、私たちは傍目から見れば不要なことに夢中になることによって、今を充実させ、逆に未来に向けて生きていくことができます。
コロナ禍や戦争など困難な時期でも、「不要不急」なことを切り捨てず、大事にしていくことが、結果として私たちの人生と社会を豊かにしていくことになるのではないでしょうか。