最低賃金が全国平均902円から930円に引き上げられるそうです。
28円の引き上げは過去最高とのことです。
28円だと、1日8時間で月20日とすれば、4、480円の増額になります。
低賃金にあえぐ労働者からすれば、ささやかな報酬アップとなりますが、それでも時給労働者のなかには、手取り12万円くらいで働いている人が大勢いると聞きます。
こんな現状をみると、「日本は本当に先進国なのか?」と疑ってしまいます。
日本の物価は、今や欧米や一部のアジア諸国と比べて低水準になっています。
コロナ禍で下火になっていますが、訪日外国人(インバウンド)がどっと増えた一因は「日本の安さ」にもあるのです。
日本人にとって「世界でも指折りの経済大国」であることは当たり前の話でした。
しかしその常識が崩れ始めているのです。
バブル崩壊以降、日本経済はほぼ「ゼロ成長」の状態が続いてきて、賃金水準は上昇していません。
この間、先進各国は国内総生産(GDP)を1.5倍から2倍に拡大させました。
日本は相対的に貧しくなってしまったわけです。
「今はもう豊かな先進国ではない」というのが実情なのです。
日本経済が成長を止めた理由の一つには、「ビジネスのIT化」にうまく対応できなかったことがあります。
1980年代以降、パソコンが普及しました。
先進諸国の多くの企業は、普及と同時並行で、ビジネスのIT化を積極的に進めました。
ところが日本は「従来型の産業モデル」にしがみついて、改革を怠りました。
その結果、業務の効率化が進まず、生産性も伸びていません。
国際競争力も低下したままです。
確かにエレクトロニクス製品など日本製が世界市場を席捲したこともありましたが、もはや昔の話なのです。
全世界の輸出における日本のシェアは低く、今や日本は「輸出大国」などではなくなってしまいました。
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日本は「終身雇用」「年功序列」が根強く残っています。
「腐っても鯛」ではありませんが、名の通った大企業ほど、仕事もないのに会社にしがみついている人が少なくありません。
この社内失業者は日本全体で400万人もいると言われています。
これらの人材を思い切って流動化させることができれば、多くの新たなサービスを創出できるのではないでしょうか。
このコロナ禍にあって、幸か不幸かリモートワークが急ピッチで普及しています。キャッシュレス決済も一段と普及しています。
現場ではリモートでの営業も盛んに行われています。
AI化、情報システムのクラウド化も加速しています。
日本企業はこの機を逸することなく業務のデジタル化を推進し、高い付加価値を提供するビジネスにシフトすべきでしょう。
ポスト・コロナのこれからの10年間は、「戦後の焼け野原」から復興した時と同じ気持ちで経済に取り組むべきです。
バブル以降の低迷期に、日本は「中国頼み」で何とか乗り行ってきました。
しかし、今の世界情勢を見るにつけ、中国への依存を何とか脱却しなければなりません。
結果、従来のような成長モデルは描けなくなるかもしれませんが、国内消費経済を主体とした「小国」にシフトするきっかけになるでしょう。
日本が小国になるというと抵抗を覚える人もいるかもしれませんが、「小国」ながらも「豊かな社会」を実現すればよいのではないでしょうか。
世界を見渡せば、オーストラリア、ニュージーランド、スイス、スェーデンなど人口は少ないが豊かな国がたくさんあります。