東京都への転入者が12か月連続、前年同月を下回っています。
進学や就職による引っ越しシーズンの今年3月は、前年比5714人減の9万7325人で、都内の大学に進学しても、対面授業の少なさなどを理由に、上京しない学生がいることも影響したとみられています。
多額の仕送りをする地方の親からすれば、下宿・アパート代などの負担が軽減する分、助かるといえば助かります。
しかし昨年入学し、上京できずに2年生になってしまったという学生も多いといいます。
選択した授業はすべてオンラインのため、今春の上京も延期したのです。
コロナ禍のオンライン授業も短期であればやむなしと思いましたが、これだけ長引くと当人の学生たちの気持ちも穏やかではないはずです。
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キャンパスライフに憧れて都内の大学を選んだにもかかわらず、友達をつくる機会にも事欠くような状況がこれ以上続くようであれば、オンライン授業ばかりというのも考えものです。
大学間でも対面授業の多寡には差があるようで、昨年対面授業を大幅に減らしたことで、今春の志願者数を大きく減らした都内の大学もあるといいます。
感染拡大に配慮しながら、対面授業を一定程度増やしていくことが大学側に問われています。
オンライン授業ばかりなのに、以前と変わらぬ「高い授業料」を払う学生とその親にとっては納得がいかない不満が残るのではないでしょうか。
またテレワークが浸透したことで、東京から近隣県に移る人も多いといいます。
「都内での生活は、ビルばかりで息苦しく感じるようになった」とばかりに、安い家賃で一軒家を借りて生活する、若い会社員が多くいます。
NPO法人「ふるさと回帰支援センター」の高橋公理事長は、「テレワークの普及や勤務地の移転が進んでおり、東京離れはさらに加速するのではないか」と話しています。
コロナ禍がもたらした新たな生活様式は、過密都市「東京」の様子にも大きな変化をもたらすことになるのでしょうか。