やっと「35人学級の実現」に向けて動き出したというのに、小学校教員の採用倍率が低迷し、教育関係者が危機感を募らせているといいます。
文科省によりますと、2020年度採用の教員試験で公立小学校の採用倍率は過去最低の2.7倍でした。
中学校の5倍、高校の6.1倍と比べても際立って低いのです。
中学・高校教員の免許は幅広い学部で取得できますが、ほぼ全教科を教える小学校教員は養成する大学が限られることもネックになっているのでしょうか。
今年度から小学校で35人学級が段階的に導入されるのに伴い、5年間で約1万3000人の教員が必要となります。
東京都教育委員会は、幼稚園教諭経験者が小学校の免許を通信課程で取得して採用された場合、費用を補助する制度を始めたようですが、他方、新規参入した私立大の一部では「学力不問」に近い入試や教科指導が不十分な傾向も指摘されています。
そのような影響もあってか、学校現場では、「学力不足の若手教員に高学年を任せられない」「通知表の所見を適切に書けない教員が多く、管理職が添削に追われる」といった校長の嘆きが聞かれるようです。
こうした状況を踏まえ、国立大関係者には、教員免許のハードルをむしろ高くするべきだとの意見も根強いといいます。
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【教員の働き方改善】
2018年に実施された経済協力開発機構(OECD)の国際調査によると、日本の小中学校教員の勤務時間は参加国・地域で最長でした。
文科省が教職の魅力を発信しようと先月始めたツイッターには、皮肉なことに過酷な実態を訴える現教職員の声であふれているといいます。
優秀な学生を教育の世界に呼び込むためには、雇用環境の改善が不可欠です。
35人学級を定着させ、討論や発表を重視したアクティブ・ラーニングへの転換を促すためにも、子供たちの学びを深める指導能力を持ち、意欲に溢れた教員を確保できなければ、日本の教育の土台は大きく揺らぎかねません。

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