【学校の当たり前をやめた】
東京の千代田区立麹町中学校の学校運営が注目されています。
麹町中学校といえば、名門の日比谷高校に多数の進学者を出している「勉強のできる子」を育ててきた学校です。
その中学校が、「宿題」「担任制」「中間・期末テスト」をやめてしまったのです。
仕掛けたのは、工藤勇一校長です。「学校の当たり前をやめた」それによって生徒も教師も変わるといいます。
工藤校長は、「目的と手段を見直し、学校をリ・デザインする」のだといいます。
つまり、子どもたちが「社会の中でよりよく生きていけるようにする」という学校の本来の目的に立ち返り、これまでの慣例を徹底的に見直すということです。
宿題と定期試験は学力定着の「手段」にすぎないのに、それ自体が「目的化」されてしまっているから廃止。
代わりに単元が終わるごとに小テストを実施し、合格点に達しない生徒は再チャレンジさせます。
放任するのではなく、責任を持って一人ひとりの学力を保障することを狙っているのです。
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【自分で考える授業】
教師は授業中に最低限の事柄しか板書しません。
黒板に大量の板書をしてしまうと、生徒はそれを写すのに気を取られ、教師の話していることに集中できないからです。
生徒のノートには「板書の欄」以外に、「大事だと思ったこと」「自分が感じたこと」を書く欄が設けられています。
【生徒一人一人と向き合う】
固定担任制の廃止も同じ発想です。
生徒は担任とウマが合わなくても学年の中なら気の合う教員もいるはずです。
教員側も、学年全員体制で生徒に向き合えば盤石。各教員の得意も生かせます。
生徒指導も、生徒を機械的に管理するために行うのではなく、例えば服装や頭髪の乱れなどの行動の変化が出てきたら「なぜそうするのか」、より深く生徒の心を知るキッカケにしていく。生徒理解を一つずつ積み重ね、「本当の指導」に発展させていくのです。
【生徒主体の行事の見直し】
さらに、学校づくりには生徒を主体に据える。運動会などの行事といった「当たり前」の見直しも生徒主体で行います。
例えば運動会では、優劣を競う教室別対抗リレーなどをやめ、走るのが苦手な生徒も楽しんで参加できるプログラムに見直したりしています。
【変革を阻むのは人】
学校の「当たり前」の多くは、実はよくよく見つめ直せば、これまでの「慣例」に縛られているに過ぎない。
そして、変革を阻むのは、「法律」「制度」よりも「人」だと工藤校長は言います。
この「慣例」という学校だけに通用する「常識」に、どれだけ子どもたち、保護者たち、教員たちが縛られ、苦しんできたことか。
大胆な「改革」とは、実は学校現場を「教育の原点」と照らし合わせ、小さな改善を積み重ねていくことにほかなりません。
いくつもの小さな改善が大きな変化を生み、いつか教育の本質的な改革が進む――。「学校が変われば、社会は必ず変わります」という工藤校長の言葉は、頼もしく響きます。
このような大胆な試みができる校長は、民間の出身者かと思いきや、ずっと教育の現場を歩んでこられ、教育委員会での仕事も経験されてこられた方だと聞いて、さらに驚きました😊。