団塊おんじ 人生100年時代を行く!

長く生きるかではなく、どう生きるかの試行錯誤録

日本の教育改革に一筋の明るい兆し?

【小学生の将来就く職業】

「今の小学生の65%は、将来、今は存在していない職業に就く」といわれています。

 

 今後10年~20年で、雇用者の約47%の仕事が自動化されるといった予測もありますから、「さもありなん」と漠然と納得してしまいます。

 

 最近よく耳にする「ユーチューバー」とか「スマホアプリエンジニア」などという職業は、20年前にはありませんでしたから、10年~20年後に今では予想もつかない仕事が出現するのは当然だと思います。

 

 未来を担う子供たちにどのような力が必要になってくるのでしょうか?

 

 社会の変化に受け身で対処するのではなく、自ら課題を発見し、他者と協働してその解決を図り、新しい知や価値を創造する力が求められます。

 

 そのためには、子供たちに「何を教えるか」だけでなく、子供たちが「どのように学ぶか」という視点が重要で、「アクティブ・ラーニング」で授業を改善し、課題の発見と解決に向けて主体的・協働的に学ぶ学習を充実させていくことが求められています。

 

【昔アクティブ・ラーニングの必要性を唱えた財界人がいた】

  随分前からこんな議論をしていたなぁ~と、この話題が俎上に乗るたびに思い出します。

 

 もう二十数年前になりますが、ある時、大阪商船三井船舶会長の転法輪奏(てんぽうりん すすむ)さんと、お話をする機会がありました。

 

 この方は当時、財界の論客の一人としても知られていた方でしたが、惜しくも1998年に69歳の若さで急逝されました。

 

 転法輪さんがアメリカの小学校(Elementary School)を視察に訪れた時の事、先生がある課題を与え、子供たちが活発に意見を言い合っていました。

 

 先生はニコニコ微笑みながら眺めているだけで口だしをしません。

 

 議論が過熱してしばらくすると、先生が生徒たちの議論を一旦止めて、皆の意見を整理します。

 

 先生がファシリテーター役で、さらに授業が進んでいきます。

 

 転法輪さんは、この時の授業風景に衝撃を受け、このような授業スタイルを何とか日本の義務教育にも取り入れるよう、国に働きかけているというのです。

 

 それから何年か後に、転法輪さんは亡くなってしまうのですが、さらに生きていて教育改革に尽力していてくれたら、日本ももう少し良い方向に進んでいたのではないかと思っています。

 

【教育改革を実践する期待の人】

 最近、平川理恵さんの存在を知りました。

 

 民間出身女性初の公立校長を経て、広島教育委員長に任命された方です。

 

 平川さんは「現場を大事にした学校教育を!」をかかげて、学びの変革を具現化されています。

 

 彼女が教育委員長に就いている広島県では今、画期的な中高一貫校を作っています。その学校は広島県立広島叡智学園中学校・高等学校といいます。

 

 なんと全国から入学志願者が殺到しているのです。

 

 広島駅からフェリーを乗り継いで約2時間。瀬戸内海に浮かぶ離島、大崎上島にその学校はあります。

 

 全ての建物が1階建ての広々とした校舎広島県立初の全寮制・中高一貫教育校で、なんと初年度の志願倍率は10倍と、社会の注目の高さがわかります。

 

 公立校なので授業料は無料です。寮費や教材費を含めても月5万円。


 なんと入学試験はペーパーテスト以外にも、2泊3日の宿泊型も!試験をしながら、学力だけではなく寮生活の適応性なども見ているそうです。

 

 初年度の現段階(2020年2月)では、まだ中1の40人しか在籍していませんが、将来的に中学校では1学年40人、高校からは外国人が20人入り1学年60人の、全校生徒300人の学校になる予定です。

 

 授業スタイルも、とてもユニークです。3人で1つのグループになり数式を英語で説明する動画制作をしたり、英語で徒競走リレーのバトンのスムーズな渡し方を録画から分析する、などいわゆる受け身の授業ではありません。

 

 広島叡智学園では世界に通用する英語力を身につけるために、段階的にすべての教科の授業も英語で行うなど工夫されたカリキュラムが組まれているので、現在中1全員が中3レベルの英語力(ケンブリッジ英検)を持つ実績を出しています。

 

広島叡智学園では新しいチャレンジをしていますが、他の公立の学校と比べて一番大きく違う点は 、新しい価値の創造を大事にする、というところです。

 

 そして子どもたちが主役になれる環境をつくる、失敗を許容する文化を育むことを大切にしています。

 

 時代の変化と共に、日本の教育・学校の当たり前が変わる時はもうすぐそこまで迫ってきています。

 

 これから新しい教育方法で学んだ子供たちが、将来世界に向かってどんな活動や情報発信を始めるのか楽しみに見守りたいですね😊。