子供のころに、朝、微睡ながら聞こえてくる音でだんだん目が覚める。
母が味噌汁の菜をまな板の上で「トントン」と切る音です。
こんな懐かしい音に郷愁を感じるのは私だけではないと思います。
これもいわゆる「生活音」というものなのでしょうが、このような音は人によって、懐かしさを感じる人、心が安らぐと感じる人もいれば、同じ音を聞いてもうるさいと不快に感じる人もいます。
たとえば蕎麦やラーメンなどをすする音は、私などは美味しそうに食べているというイメージを連想して、食欲をそそられる音ですが、麺をすするという習慣のない海外の人達のなかには、違和感や、不快感を感じる人がいるといいます。
食器が触れ合う音に、客の話し声…。カフェのざわめきを収録した音をスマホのアプリなどで聞きながら自宅で勉強するという東京都の男子高校生(17)は「カフェで勉強することが多かったので落ち着く。本当に居るような没入感があって集中できる」と話します。
読書する時はシトシトと降る雨音、眠る時はフクロウが鳴く森の音など、1日に数時間はいろんな音を聞くのだそうです。
友人とお勧めの音を紹介し合うこともあるといいます。
いま若者は、音楽を聴くのと同じ感覚で、生活音や環境音を楽しんでいるようです。
Gennaro Leonardiさんによるpixabayからの画像
私にとって心安らぐ音は何かな?と考えてみました。
今日も雨が降っています。シトシトと静かに降る雨音は、心落ち着く音かなと思いますが、最近の雨は、バケツをひっくり返したような豪雨が多いので、決して心が安らぐような音には結びつきません。
梅雨が開けて、盛夏の時期になると、「小学校の臨海学校の夜に、海から聞こえてきた波の音」などが思いだされます。
お盆休みが終わる頃になると、「清流のせせらぎの音に、ヒグラシの鳴く音が調和する音」が夏の終わりを知らせるような一抹の寂しさを感じつつも、私にとって心が落ち着く好きな音です。
時折小鳥のさえずる森林の中にいる時の、風を受けて木々の枝がきしむ音や小動物が蠢く音など、はやくその場に自分の身を置きたいと思ってしまいます。