イギリス政府は1月31日から、香港に住む「英海外市民(BNO)旅券」保持者らに英国の市民権を与える道を開く特別ビザの申請を受け付けると発表しました。
今後5年間で最大100万人が移住するとの予想もあります。
【完全な統治下に向け動き出した中国】
1842年、中国清朝がアヘン戦争に負け、香港は英国の植民地になりました。
以来、香港では行政のトップを選挙で選ぶことはできませんでしたが、市民は英国流の資本主義経済や言論の自由がある社会でくらしてきたのです。
そして1997年、英国から社会主義国・中国に返還された際には、50年間は外交と国防を除き、政治や経済の仕組みを維持する「高度な自治」を中国から保障されました。
企業や市民が逃げ出すのを避けるためだったといわれます。
しかしご承知のように、中国政府は香港を完全な統治下に置こうとする動きを徐々に強めてきました。
そしてついには、中国政府直轄の治安機関を香港に設置して抗議デモなどを監視・摘発する制定を全人代で行ってしまい、香港市民が阻止することができないやり方をとるまでになってしまいました。
nextvoyageさんによるPixabayからの画像
【中国に圧力をかけようとする英米】
今回の英国による特別ビザ申請の受付けの発表は、日米豪印が結束して中国の動きを牽制する流れの一環のような気がします。
加えて50年間の高度な自治の約束を反故にされた英国にとっては、香港問題は特別な意味と思いがあります。
すでに中国にマークされている市民リーダーの一部は国外に亡命したりしていますが、若い香港市民を中心に、今後英国の市民権を確保しようとする動きは強まるのでしょうか。
しかし英国に移り住んだからといって、その後の生活の保障が完全になされるわけではありませんから、不安に思う人々は香港にとどまる道を選ぶかもしれません。
今回の英国の発表に対しては、中国が猛反発をしています。
したがって今後、国外に脱出しようとする動きが強まれば、中国政府はあの手この手の懐柔策を香港市民に提示していくことでしょう。
中国本土と同様の完全監視下におかれた将来の香港を選ぶのか、それとも自由を求めて、英国はじめ国外に脱出する道を選ぶのか、今後の動きが注目されます。
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