懸案になっている日本の食料自給率をいかに上げるかという課題。
中国との関係が緊迫化を増すにつれ、いざという時に日本国民の「食の安全」と「健康を保つ上での、必要な栄養素の確保」を急ぐ必要があると思っています。
ひと昔前に、食を賄うために「コメ・味噌・醤油があれば、なんとかなる」という言葉をよく聞きました。
晴耕雨読をするうえで、天気の良い日には畑を耕し、自分たちが食べる分の作物を育て、コメ・味噌・醤油とあわせて野菜を食べるといったイメージでしょうか。
味噌も醬油も大豆が主原料ですが、大豆の自給率は7%と深刻な状況です。
最近の健康志向の高まりのなかで、大豆製品の果たす役割が高まってきているというのに、大半を国外に頼らざるを得ない状況なのです。
主要タンパク源のもうひとつが肉類です。
牛肉、鶏肉、豚肉まとめた自給率は51%になります。
家畜に与える飼料も自給できている肉は7%です。
では、肉ももっと生産しないといけないか、というと、実はそうでもありません。
地球と私たちの健康を考えた時、世界的に、肉の生産・消費はむしろ減らしていくほうが良いのかも知れません。
- 食肉の生産は温室効果ガスの排出量がとても大きいこと
- 現在主流の工業型の畜産は、大規模な生態系破壊をともなっていること
- 植物由来の多様な食品から効率よくたんぱく質などを摂れるし、それは健康にもよいこと
などがその理由です。
Lukas Jancickaさんによるpixabayからの画像
農業の担い手の高齢化の問題も自給率を上げるうえでの大きな課題です。
最近では、農業に関心を持つ若い人たちが増えているといいます。
ベテラン農家のノウハウを吸収しつつ、新たな農業技術を取り入れて、日本農業を支えていってほしいものです。
そして、企業の参入による農業の革新も必要です。
【トマト生産支援、AIにおまかせ】
NECとカゴメはこの6月7日に、AI(人工知能)によるトマト農家向けの支援システムを共同開発し、世界で本格販売すると発表しました。
熟練農家のノウハウを基に、水や肥料の無駄遣いを減らし、収穫量を増やせるといいます。
収穫のばらつきを抑え、生産計画を立てやすくなるメリットもあるといいます。
センサーで土に含まれる水分量や温度、日照時間などのデータを集め、葉の茂り具合を人工衛星から計測します。
こうした情報を基に、水や肥料を散布する適切なタイミングと分量をAIが分析、生産農家に助言します。
2社は、2015年から共同開発を始め、熟練農家のデータなどを参考にAIによる学習を進めました。
農家での実証試験では、肥料の使用量を平均より2割減らし、収穫量が3割増となる結果が出たといいます。
自給率アップとあわせ、おいしいトマトを輸出することも狙っているようです。
私は、何といっても「大豆の自給率を上げる」ことが大きな課題だと思っています。
この課題にAIを駆使して、果敢に挑戦する人材・企業よ、出でよ。
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