団塊おんじ 人生100年時代を行く!

長く生きるかではなく、どう生きるかの試行錯誤録

業務過多が招くお役所仕事

 コロナ禍の過程で、日本の行政の“デジタル化の遅れ”が際立って目立ち、菅政権はデジタル庁設置に踏み切りました。

 

 また河野行革担当相のもと、行政手続きでの「はんこ使用廃止」にむけて法改正を進めるなど、役所の仕事の効率化が進展しようとしているかに見えます。

 

 しかし会計検査院がこの11月に公表した2019年度の決算検査報告によると、国家公務員のずさんな仕事ぶりが数多く指摘されています。

 

 しかも同様の指摘が、これまで毎年のように繰り返されてきたというから、あきれます。

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  KangbchさんによるPixabayからの画像

 

【遠すぎて現地見ず工事完了】

「工事が完了しました」との現場からの電話で、国土交通省航空局では発注工事の実物を確認せずに「完成」とする処理が繰り返されていました。

 

 検査院によると、国の発注工事や物品購入については、会計法で職員による完成、納品時の検査が義務付けられていて、航空局は内規で現地確認すると定めています。

 

 しかし、航空局と、東京、大阪航空局など出先の9機関では昨年度までの3年間に、7空港とその関連地域で実施した計91件(約48億円)で、現場からの電話報告や業者からの納品書の確認で済ませていました。

 

【チェック不能】

 休暇をとった人達の分まで人件費を支払ったと指摘されたのは内閣府です。

 

 内閣府は、旧日本軍が中国に埋めた化学兵器を発掘し、無害化する事業を複数の民間企業に委託しています。

 

 検査院が2014年~18年度に委託費5億円以上の66件を抽出調査したところ、7事業者の36件で、作業員が休暇を取った日や無関係の業務を行った日が「業務実施日」とされていたケースが確認されました。

 

 内閣府はチェックする仕組みを作らず、事業者からの申請通りに委託費を支給していたといいます。

 

【勘違い】

 防衛装備庁は、職員の勘違いから、5億円超の会計処理が不適切と指摘されました。

 

 同庁は、自衛隊の基地や駐屯地に設置したレンタルサーバーなどについて、レンタル期間終了時に、撤去費を払って取り外しています。

 

 検査院が2014年~19年度の268件を調べた結果、17件で撤去が済む前に約5億5千万円が支払われていました。

 

 現場の担当職員が、機器の電源を抜いたり、回線を切断したりした時点で撤去完了だと勘違いしていたためですが、結果的に完了していない工事に対価が払われたことになります。

 

 会計処理を巡っては18年度の会計報告でも、宮内庁で海外出張する職員への前渡し金の残金清算が滞っていたことが判明するなど不備が度々指摘されています。

 

【業務過多が招くお役所仕事】

 一般的に「お役所仕事」というと、形式に囚われたり、融通が利かなかったり、不親切だったり、臨機応変な対応ができなかったりといったイメージです。

 

 しかし今回の会計検査院の指摘事項の内容をみると、業務が過多となっていることによる不備が目立ちます。

 

 国民への行政サービスの向上とあわせて、ここにもデジタル化を急ぎ効率化をはかる課題が山積していそうです。