まだまだ予断は許さないものの、海外に比べて日本の死亡者数が少ないのは何故なのか?
私は以前から関心を寄せていました。
そうしたところ、米外交誌フォーリン・ポリシー⁽電子版⁾は5月14日、東京発の論評記事で、「日本の新型コロナウィルス感染対策はことごとく見当違いに見えるが、結果的には世界で最も死亡率を低く抑えた国の一つであり、対応は奇妙にもうまくいっているようだ」と報じました。
さらに同誌は、日本は中国からの観光客も多いし、ソーシャル・ディスタンス⁽社会的距離⁾の確保も中途半端だと指摘。
また、感染防止に有効とされるウィルス検査率も国際社会と比べ低いが「死者数が奇跡的に少ない」と評しました。
さらに「結果は敬服すべきもの」とする一方、「単に幸運だったのか、政策がよかったのかは分からない」とコメントしています。
医療現場の逼迫した様子が連日報道されるのを見るにつけ、日本の医療体制はこれでよいのかと思ってしまいます。
また感染防止対策も他国に比べ、秀でていると自慢できるようなものではないと感じています。
なのにこのような低い死亡者数にとどまっているのは、何故なのか?
そんなモヤモヤした疑問を持ち続けていたのですが、5月10日のNHK「クローズアップ現代」に出演したWHOのシニア・アドバイザー進藤奈邦子(しんどう なほこ)医師の発言には勇気づけられました。
進藤医師はWHOの危険感染症の対策にあたり、新型インフルエンザの防止活動の中心として活躍している方で、2014年に西アフリカでエボラ出血熱が流行した際にも、チームリーダーとして活躍しました。
WHOといえばテドロス事務局長をはじめ、その言動が問題視されている人物が多いと多くの人が感じているのではないでしょうか。
医師で医療ジャーナリストの村中璃子氏もツイッターで、「WHOのシニアアドバイザーというのは?な人ばかりかと思っていたら、進藤奈邦子先生が本当にまっとうなことを言ってくださったのでよかった!」と絶賛しています。
進藤医師のNHKスペシャルでの発言の要旨は以下のとおりです。
- 日本では相当早い時期から患者が発生したにも関わらず、非常に低いレベルで抑え込んで来ており、世界的には「ほぼ奇跡」と見られていた。
- 世界から仰ぎ見られるような感染症の専門家がいて、陣頭指揮をとっている。
- 国民の高い衛生意識、感染症に対する理解がきちんとしていた。
- 日本の対策は素晴らしい。死亡者をみると欧米に比べて、圧倒的に日本は少ない。
- インフルエンザのパンデミックでも見られたことだが、世界からは「ジャパニーズ・ミラクル」と見られている。
- 解放⁽緊急事態宣言解除⁾に向かって積極的、建設的な対策が立てられると期待している。
- 「検査の遅れ」というのは間違い。日本の戦略的検査を、私たちは高く評価している。
最後の進藤医師は「日本はトップダウン型ではなく、コミュニティの機能を活かしたボトムアップ型のほうがうまくいく」という趣旨の発言をしていたのが強く印象に残りました😊。