【医者に告げられた終末期】
年の初めから義母が入院生活を続けています。
地域の拠点病院で肺に溜まった水を取り除いてもらい、別の病院に転院しましたが、いまは落ち着いてみえます。
しかし、両病院の担当医に同じように告げられたのは、終末期に入っているということでした。
見た目だけ見ると、そんな深刻な状況には見えません。義母本人は、もう少しすれば、家に帰れると思っているようです。
医者は、もう家での一人暮らしは無理だと言います。それからというもの、妻と義妹は退院後に義母を受け入れてくれる施設を探し廻りました。
【難航した施設探し】
お金を出せば受け入れてくれる施設は結構ありそうですが、年金収入の範囲で入ることのできる施設がなかなか見つかりません。
病院の相談員は義母の状況をみて「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」を勧めてくれますが、予算の面で難しい状況です。
医者の言う通り終末期で、あとせいぜい半年か1年というのであれば、貯金を取り崩して何とかなりそうですが、まだまだもう少し長く生きる(勿論、それが彼女達の願いではあるのですが…)ことができるとなれば、それこそ「介護破綻」に陥りかねません。
いくつもの候補施設を見て回りましたが、納得のいく条件の施設に巡り合えず、時間ばかりが過ぎ去ります。
【最後の候補施設】
病院から退院を迫られる中、一縷の望みを託して最後の候補施設を訪れました。
分かりにくい経路を四苦八苦しながらたどり、ようやく施設に到着、外見は古そうな建物に見えます。
玄関には時節柄、感染予防のために「面会お断り」の張り紙が貼られています。
入ると広いエントランスと広い受付で、数人の女性スタッフが働いています。
面談室に案内され、施設の概要の説明を受けましたが、聞いているうち今の義母の状況からすると、今まで見た中で一番あった施設のような気がしてきました。
その理由の一番は、施設長が医者で、一定の医療行為が施設内で可能だということでした。
予算面でも年金の範囲に収まりそうです。
こちらから義母の状況やこれまでの病歴などを説明したのち、施設を案内されましたが、外見とは違いどの部屋も大きな窓から光が入る構造で、とても明るいことが印象に残りました。
後日、責任者の方が義母を訪ね、面会をしたのち、会議にかけられ、正式に入所許可がおりるという段取りになるとのことでした。
施設を後にし、彼女たちに受けた印象を尋ねると、二人とも「今まで見た施設の中で一番よかった」とのこと。
何とか入所が決まってくれることを願うばかりです。
気丈な義母は、家で過ごすことを願っていますから、入所してしばらくは抵抗がありそうですが、それは誰でも経験する通過点だそうです。
入所したては、特別に面会が許されるそうですから、まめに訪ねて行きショックを和らげようと二人は話し合っています。
あとどのくらい生きられるのか分かりませんが、残された余生を穏やかに過ごすことができる施設であることを、今はただ願っているところです。