長年子供達や若者の支援に奔走した知人が、亡くなったとの連絡を受けました。
肝臓ガンでかなり痩せてきてはいたのですが、あまりに早い死にショックを受けました。
もう10数年の付き合いになりますが、常に社会の動きよりも一歩先を見て行動をすることができる戦略家でした。
二週間前に会った時は、まだ元気でしたが、医者からは今度症状が悪化すれば助からないと言われていたようです。
彼は最近、「長年、困難を抱えた若者を支援し、国の施策も見続けてきたが、不十分だった。いまそのツケがまわってきている。」と漏らしていました。
2000年代初頭に「ニート」という若者支援の概念が英国より入り、若者支援とニート対策が合流することにより、日本ではようやく若者支援の必要性・重要性が認識されるようになります。
古い政治家の間では「若者への支援に税金を使うのは如何なものか」といった意見が根強くありました。
一番元気であるはずの若者が働かないのは、単なる甘えや怠けではないのかといった意見が少なくなかったのです。
しかし調べていくうちに15歳から29歳までの若者のうち、ニートに該当する対象者が60万人以上いることがわかり、事の重大性が認識されるようになりました。
その後厚生労働省や経済産業省は、ヤングジョブスポット、ジョブカフェ、そして現在の地域若者サポートステーションへと、次々と施策を形にしていきました。
しかしながら、それはあくまで「就労させること」が目的であり、限られた時間の中で、何度か相談にのっていくことで、職についてもらおうと考えていました。
その結果一定の効果を上げ、マッチングに成功した若者達も多くいましたが、それでも働くことのできない事情を抱えた人たちが残りました。
最近その人たちが、打開策が見えぬまま時間が経過し、いわゆる「中高年ニート」になり、そのままひきこもってしまう流れになっています。
先日40~64歳の中高年でひきこもりの人が、全国に推計約61万3000人いることが、内閣府の初の調査でわかりました。
40歳未満も加えると、概数で100万人以上はいるだろう」と内閣府の担当者の弁。
厚生労働省も就職氷河期にターゲットを当て、正社員をめざす支援に本腰を入れて取り組もうとしています。
彼がもう少し生きていれば、これらの人たちが社会と関わって、福祉的支援を織り交ぜながら自活する道を見出してくれるのではないかと悔やまれてなりません。