【少しほっとする話題】
『23年ひきこもり…52歳男性はなぜ家を出られた? 「8050問題を考える」というAERA(2019.6.17号)の抜粋記事を読みました。
家を出られるきっかけとなったのは、母親が頼る支援者の存在でした。
長年ひきこもりの支援に関わるNPO「遊悠楽舎」の明石紀久男さんは、3年間家庭を訪問し続けました。
母のすすめで不承不承会ってみることになり、相談を重ねていくなかで、『僕は親の家でなんか、生きていたくない』と思うようになったと言います。
明石さんは、本人から「本音=欲求」が湧き出てくれば事態は動き出すと言います。
特に50代にもなると「今更、何をしても無理」という諦めが強いと感じている。だから、こう声をかけます。
「確かに若くはない。でもここからだよね。自分が生きたかった人生を生きてみようよ」
このところ、ひきこもりに関連した凄惨な事件が相次いでいただけに、少し救われる思いがするニュースではあります。
【支援現場の実態】
明石さんのような「ひきこもり支援のプロ」といわれる方は、全国に何人もいます。
しかし61万人いるといわれる、40代~50代の引きこもりの方々を支援することを考えれば、圧倒的に人手不足・人材不足と言わざるを得ません。
厚生労働省もここ数年ひきこもり支援に力を入れ始め、現在全国に75か所の「ひきこもり地域支援センター」を設置するまでになりました。
しかし専門家に聞くと、まだまだうまく機能し、実効性ある活動になっているとは言い難いといいます。
ひきこもりではない若者の自立支援もそうですが、本人に就労を迫る支援が中心になってしまっているのです。
税金を投入しているのだから当然だという意見もありますが、AERAの記事の例をみてもわかるように、「時間をかけた忍耐強い支援」が必要な場合が多いのです。
【支援スタッフへの支援が大事】
一方の重要な課題は、ひきこもり支援のプロ達が、長年蓄積してきたノウハウを受け継ぐ後継者スタッフが育っていないということです。
ひきこもり支援を行っているNPO組織などの実態をみると、トップを含めたパートナー幹部を除いた、それ以外の支援スタッフは、3年以内に辞めてしまうという実態があるのです。
介護や保育の分野と同様、低賃金で負担の多い支援活動を行っており、最初は志を持って活動を行っていても、経済的理由で転職せざるをえないという事例が後をたたないのです。
現場の支援スタッフの間では、結婚を機に辞めていく仲間のことを「寿退社(ことぶきたいしゃ)」と呼んでいるそうです😢。
課題の多いひきこもり支援ですが、見過ごしてはならないのは育成策を含めた「現場の支援スタッフの支援」ではないかと思っています。