【今回の川崎殺傷事件で思うこと】
今回の川崎殺傷事件は、世間を震撼させる出来事でした。
そこで改めて思い起こしたのが「8050問題」でした。
8050問題と名付けたのは大阪府豊中市社会福祉協議会の勝部麗子さんで、現代日本に発生している家族に関する問題です。
以前から「引きこもりの若者」の存在が問題視され、支援活動も官民をあげて行われてきました。
しかしこれが長期化すれば親も高齢となり、収入に関してや介護に関してなどの問題が発生するようになります。
これは80代の親と50代の子の親子関係での問題であることから「8050問題」と呼ばれるようになったのです。
そして今回の川崎殺傷事件の岩崎容疑者の場合も、同居相手は親ではありませんでしたが、「引きこもりの50代」が80代の高齢者の家にパラサイトするという点では親の場合と変わりはなく、典型的な「8050問題」なのではないでしょうか。
【今後にむけての検証が必要】
岩崎容疑者に対して川崎市が間接的に接触しようとしたところ、「引きこもり」という言葉に本人が反発したため断念したという報道もありますが、厚生労働省の仕事や学校にいかず、家族以外の人とほとんど交流せず、6ヶ月以上続けて自宅に閉じこもっている状態を『引きこもり』と定義している点と照らし合わせれば、りっぱな引きこもりです。
今回の事件については、容疑者の住んでいた家に対して、福祉や医療などの観点からの「支援」がどの程度行われていたのか、何が可能だったのか、今後検証する必要があります。
容疑者の生活の背景に日本で広がる「8050問題」が横たわっているといったからと言っても、それだけで今回の無慈悲な犯行の説明にはなりませんし、今回の犯罪を正当化することになるわけでも同様の問題の解決や防止につながるわけでもありません。
とはいえ、こうした残虐事件が起きるたびに「犯人憎し」だけだと、ややもすると軽視されがちなこうした「社会問題」についても私たちは目を背けることなく正視していく必要があるのではないでしょうか。
また「ひきこもり=悪」といった社会のイメージ形成に陥らないよう、注意する必要もあります。
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