【正念場が続く日本】
各種イベントが次々に中止に追い込まれたり、スポーツの無観客試合での実施が決まったりと、いよいよ日本のコロナウィルス対策も正念場を迎えています。
専門家によれば、今の日本は、クラスター(小規模な患者集団)を発見し、経路を突き止め、感染拡大の防止に努めている段階なのだそうです。
ここで食い止めることができないと、市中感染のステージに入りますから、東京オリンピック開催の中止または延期が現実味を帯びてきます。
何かと内外から「後手後手の対応」と批判される日本とは対照的なのが台湾の取り組みです。
検疫強化や専門家チームの発足などの措置を迅速に打ち出し、当初は感染者数が中国に次ぐ世界2位に達すると予想されていましたが、2月24日時点の感染者数は30人と世界10位にとどまっています。
【初動の素早さ】
昨年末の12月31日、中国・武漢市衛生健康委員会は、「原因不明の肺炎が27例、うち重症7例が確認された」との発表を行いました。
この報告を受け、台湾政府の衛生福利部(日本の厚生労働省に相当)は、即日最初の注意喚起を行ったといいます。
同時に、武漢からの帰国便に対する検疫官の機内立ち入り検査、空港等での入国時の検疫強化を指示し、即実行に移しています。
そして台湾での新型コロナウイルス感染者が1人も確認されていない1月15日に「指定感染症」に指定したのです。
ちなみに日本では1月16日に国内で初感染確認、2月1日に「指定感染症」に指定されました。
また2月2日には集団感染のリスクを減らすために、学校の始業式を2週間遅らせる措置をとりました。
同時に休校中の子供の保護者は、会社の休み申請を可能とし、企業側が拒否した場合には2~100万台湾ドル(日本円で7万~300万円)の罰金を課すことにしたのです。
日本も現在では学校休校の措置をとっていますが、日本より1ヶ月も早く実施しています。
これらの陣頭指揮をとったのが副総統の陳建仁(ちんけんじん・69歳)氏で、防疫のスペシャリストです。
彼は2003年に台湾がSARS流行の厳しい局面に直面した際も、衛生担当の閣僚として感染対策を指揮し、流行拡大の抑止を成功させたり、国家感染医療システムを確立し「感染症予防法」を改訂したりと、台湾の衛生と伝染病の予防能力や医療の質を向上させてきた人物です。
SARSでの経験が今回の素早い対応につながったともいわれています。
台湾の感染症予防の素早さに、日本は学ぶべきものが多々あるのではないかと感じています。