私が今の住まいに住み続けて、もうかれこれ30有余年になります。
現役で働いていた頃には、朝早く家を出て、夜暗くなって帰宅する生活を長い間続けてきました。
その頃は、家の近所のことには、ほとんど関心がなく、休日も家族と食事に行く場所程度にしか近隣の情報を持ち合わせていませんでした。
引退後、「毎日が日曜日」に憧れて半年ほど社会との関わりを断った時期があります。
その当時から、朝夕の散歩を日課にするようになりました。
最初の頃は、1時間もかけて遠くまで足を運び、新しい発見をするたびに、新鮮な喜びを感じたものです。
最初に魅力に取りつかれた散歩コースは、小川の周辺に何十本もの桜の木が植えられている長閑な田園地帯です。
市街地を抜けると田んぼが広がる地帯に辿り着きます。あぜ道を歩いているとほっとする気分になり、そのまま小川のほとりを目指します。
桜の咲く季節には、目を見張るような光景が広がります。
桜のピンクと下草の緑とすみれの花の紫のコントラストが見事なのです!
桜を愛でながら堤を散策し、橋を渡って反対側の堤に出て、しばらく歩いていると桜を植えた時の経緯が記された由緒書きのプレートが目に留まります。
見ると、これらの桜の木は何十年か前に、この地域の住民が桜の季節に周辺の人たちに、小川の辺に集まってもらって楽しんでもらったり、農作業をしながら桜を見てホッとしたいという思いから植えられたもののようです。
桜の木は数百メートルにわたってつながり、楽しみながら歩いていると時を忘れます。
そういえば途中に湿地が広がる場所があり、そこに一本の桑の木があります。
最初に桑の木を発見した時には懐かしさを覚えました、50年以上も前、養蚕をしていた親戚の農家にいくと、蚕に食べさせるために、たくさんの桑の木が植えられていて、従兄弟と桑の実を採って食べたものです。
ある時通りかかると、桑の実がなっていましたので、思わず一粒だけ頂戴して口に入れてみると、その懐かしい味に思わず感激!
そういえば、この散歩コースはここ数年足が遠ざかっていることに気づきました。
年齢を重ねるにつれ、片道1時間コースが億劫になってしまい、つい短時間コースの方を選んでしまっていたのです。
もうすぐ桜の咲く季節、今年は久しぶりに行ってみようと思います😊。
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