若き空海が唐に渡り、どのように知識吸収や人間形成を成したのかは以前からの興味でしたので、タイトルに魅かれて見に行きました。
見る前に予備知識を身に着けなかったせいもありますが、私の期待した内容と違っていたので肩透かしをくらった感じです。
映画ですからエンターテイメント性を中心に、組み立てられるのでしょう。
唐の都「長安」で怪事件が相次ぐ。遣唐使の留学僧、空海は、友人となった詩人の白楽天と共に事件を探り、絶世の美女・楊貴妃の死の真相に迫るというストーリーになっています。豪華な美術や衣装に加え、CGによる壮大で緻密な映像を作り上げていました。
空海という僧は、弘法大師という名で小さい時から私の中で最も存在感のあるお坊さんでした。私は温泉地で生まれ育ったのですが、弘法大師が杖を指したところに温泉が湧いたという話を聞かされました。
またこれまで全国各地を仕事や旅行で出かけた時にも、学校を作ったり、池を修理したり雨乞いをしたり等々の逸話が残されていることを知ることも度々でした。
空海は当時日本でも関心が高まりつつあった、密教の教えを学ぶために唐に渡り、わずか2年で密教をほぼマスターしたと言われています。
当時は頭のいい子は僧侶になり、高度な教育を受け、すごい知識を得て、その後に民衆を指導するという立場になる時代だったようです。空海もその一人で、とりわけ優秀だったが故に唐に行くことを許されたのでしょう。
少し先輩の最澄も同じく唐に行きましたが、一年という期限が決められていたようで、その間ひたすら書物を読み漁る秀才タイプだったようです。それに比べ空海は2年の滞在を許されたが故に、密教をマスターするレベルに至ったようです。さらに空海は行動派の天才タイプで、日本に帰ってからも密教の教えを広めるだけでなく、全国各地を巡り民衆を指導するという行動力があったが故に、感謝と尊敬を込めた様々な逸話が、各地に残されているのだろうと思います。
映画の中では、あまりうかがい知ることはできませんでしたが、唐の時代の様々な知識・知恵を持った人たちに接することにより、驚異的な吸収力でそれらを身に着けて日本に帰ってきたのだなと推測しています。