かつて勤め先があった渋谷を久しぶりに訪れてみました。
昔は渋谷駅周辺は隅々まで把握していたつもりでしたが、改札を出ると目的地までのルートが全くわかりません。
まるでお上りさん状態のなか、人に聞くのも癪なので、自分が知っている目印を何とか探そうと右往左往しながら、かなりの時間をかけて何とかたどり着くことができました。
帰りしなに、駅周辺にそびえ立つ高層ビル群を眺めてみると、昔の光景とのあまりの違いに圧倒されるとともに、感慨深いものがこみ上げてきました。
渋谷だけでなく、この数年相次いで品川、新宿駅西口、東京駅八重洲口などの再開発が手掛けられました。
日本一地価の高い東京の主要駅周辺を、再開発により価値を高めようとすれば、できるだけまとまった土地を集約し、上へ上へと伸ばしていくのは、やむを得ないことなのかもしれません。
しかし、かつて地方都市の駅を下りたつと、駅前の商店街がどこも似たような光景であると感じていたものが、規模こそ違え、東京の主要駅が高層ビル群になり、均質化されてしまっていくような気がします。
再開発がなった場所を歩いてみると、きれいな店舗が立ち並び、それはそれで快適な時間を過ごすことができるのですが、何か違和感を覚える自分がいます。
そんなとき、先頃見た映画「パーフェクトデイズ」の1シーンを思い出しました。
役所広司扮する主人公が、仕事が終わり、浅草の古い地下街にある馴染みの店に立ち寄って、一杯飲みながら軽い食事をする光景です。
○○横丁、雑居ビル、高架下の飲み屋街、低層密集地域などに迷い込むと、何かほっとする気分になるのは私だけでしょうか。
防災対策のために、危険度の高い密集地域に手を加えることは必要なのでしょうが、昭和レトロを感じさせられるような、味わいのある古い飲み屋街、商店街などを、何とか残していってほしいものです。