この発表を大変な驚きをもって知りました。
インドネシアのカリマンタン(別名ボルネオ、Borneo)島で発見された人骨から、約3万1000年前に足の切断手術が成功裏に行われていたことが明らかになったとする論文が9月7日、豪グリフィス大学などの研究チームにより英科学誌ネイチャーに発表されたのです。
これまで確認されていた最古の切断手術は、フランスで発見された約7000年前の人骨に対するもので、今回の発見は太古の医学史を塗り替えるものとなります。
従来こうした手術は、定住型農耕社会でのみ行われると考えられていたのですが、今回の研究からは、石器時代のカリマンタン島に住んでいた狩猟採集民が、人体の構造や傷の手当に関する高度な医療知識を持っていたことが示されたのです。
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人骨は2020年、4万年前の壁画が残る洞窟で発見されました。保存状態は非常に良好だったものの、左の足首から下が欠損。患部はきれいに切断されたとみられ、骨がこぶ状に再生していたことから、足が意図的に切断された可能性が高いことが分かったのです。
歯や周囲の堆積物から、人骨は少なくとも3万1000年前のもので、20歳前後で死亡した人物のものと推定されています。骨の再生具合からは、切断後6〜9年生存し、深刻な感染症にもかからなかったことが示されました。
研究チームはこのことから、当時の人々には「四肢の構造と筋系・脈管系に関する詳細な知識」があったと考えられると説明しています。
術後には、定期的な傷口の洗浄や、包帯の巻き直し、消毒といった集中的な看護が行われていたと推測されています。
【人類は3万1千年経って、進歩したのだろうか】
身近な人達が怪我や病気になった際に、当時そのような施術の知識があったことに新鮮な驚きを感じました。
何とか愛する人を救おうとする気持ちと知識と技術を既に持ち合わせていたわけです。
3万1千年も経った今、人類はどれほど進歩したのでしょうか。
確かに医療は日々進歩、発展しているのでしょう。
しかし、戦争や紛争は未だに絶えません。
自分は安全な場所に実を置いて、無差別にロケット弾を撃ち放ち、嘘で塗り固めたメッセージを出して自分たちの行為を正当化する。
狭い地球上で生きる人類が、ともに助け合い共存するための英知は未だに生まれないままです。
私たち人類は、進歩するどころか破滅に向かって突き進んでいるような気がしてなりません。