私は昔、帝国ホテルのスタッフの方々とある期間、仕事を通じてお付き合いをさせて頂く機会がありました。
先日「帝国ホテルから子ども食堂へ」という記事が目に留まり、見ると総料理長を長年務められた田中健一郎(71)さんの活動紹介記事です。
当時は、バブルがはじけ日本全体が景気低迷にあえいでいました。
日本のフランス料理の最高峰とみなされる帝国ホテルですが、不況のあおりを受け、フランス料理部門も売り上げが激減し、よりリーズナブルな値段のイタリア料理などで苦境を乗り切る策を検討している時でした。
なんとかして料理部門を復活させようと、田中さんは総料理長として並々ならぬご苦労をされていたように記憶しています。
Jill wellingtonさんによるpixabayからの画像
2021年9月に退職し、再就職の引く手あまたの中、第二の人生は子ども食堂のためのボランティアを選んだのだそうです。
NPO法人「全国こども食堂支援センター・むすびえ」(東京)と消費者庁などの取り組みに協力し、備蓄食材を使って、子ども食堂むけに考案したメニューを開発しています。
ただ、子ども食堂が貧困支援だけで捉えられていることに懸念を抱き、「年代を問わず一緒に食を楽しむ場があれば、と願っていました。おいしい料理が明るいイメージ作りに役立てばとうれしい」と語ります。
東日本大震災の被災地支援に携わり、「備蓄食材をもっとおいしく調理できたら」と感じていたそうです。
作り方の動画を「むすびえ」や、取り組みに協賛する東京ガスのサイトで公開しており、今後は、子ども食堂の現場での調理やレシピ考案といった協力もしていきたいといいます。
夢は自身で子ども食堂の運営に関わることで、総料理長をしながら食育に取り組んだ経験を通じ、「孤食や個食が増えている今、食べる大切さを伝えたい」と抱負を語っておられます。
子ども食堂のみならず、全世代に「食の大切さ」を啓蒙していこうとする田中さんの活躍に期待したいものだと思っています。