団塊おんじ 人生100年時代を行く!

長く生きるかではなく、どう生きるかの試行錯誤録

非民主主義国家の方が民主主義国家より多いとは!

 世界の国家は増え続けています。

 

 東京オリンピックの開会式においても、「こんな名前の国があるんだ」などと何度も思いながら見ていたものです。

 

 独立や民族自決などで、現在では196カ国の国家があるのです。

 

 このうち、民主主義を採用する国家の人口は46%と少数派になってしまいました。

 

 私は民主主義を疑うことなく今日まで過ごしてきましたが、民主主義ではない国・地域の方が多いという事実に驚かされました。

 

 しかし昨今のコロナ感染への対応をみていると、独裁国家のような形のほうが一気に対策を打てるという意味で長所があるともいえるのでしょうか。

 

 しかし冷静に考えれば、人権が無視され国家の利益が最優先といった国家運営は、認めるわけにはいかないでしょう。

 

 中国は「別の形での民主主義国家を目指している」などといって、非民主主義国家を次々と我が陣営に取り込もうと躍起になっています。

 

 そんな世界の民主主義の退潮傾向に危機感を持った米国のバイデン大統領は、「民主主義サミット」を呼びかけ数十カ国の首脳を集めました。

 

 そして「未来は人間の尊厳を受け入れる人のものであり、踏みつぶす人のものではない」と、民主主義の国々の結束を呼びかけました。

 

 非民主主義国は、権力者が望まない国民の声は封殺しようとします。

 

 バイデン氏は「国民の意見表明の権利を抑圧するため、国家が新しい技術を悪用する可能性を減らす」とも述べ、中国などが人工知能(AI)の技術を国民の監視に利用していることから、人権侵害に利用される恐れのある技術などを輸出管理する方針も打ち出しています。

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   Gennaro Leonardiさんによるpixabayからの画像

 

 【なぜ民主主義国家は退潮し、少数派に転落したのか

 

 民主主義国家が退潮し、少数派に転落した理由は主に3つ考えられます。

 

【豊かになれなかった】【格差の拡大】【自由主義のパラドックス】です。

 

  • 民主化しても豊かになれなかった

 

 政治体制を変えるのは崇高な理念があるからでも、理想を信じるからでもありません。自分達の明日の生活がより豊かになりたいとの希求が根底にあるからなのです。

 

 後発国では、かつては民主主義を採用すると“豊かになる”と信じられてきました。

 

 資本主義は豊かさの象徴であり、その資本主義を導入するために自由な市場が必要で、自由を保障するためには民主主義が必要だとされました。

 

 ところが、民主化しても多くの国は豊かになれませんでした。

 

 考えてみれば当たり前です。民主化して採用したのは新自由主義的な資本主義でした。

 

 新自由主義がむしろ世界経済に低成長をもたらしたことは、さまざまな研究者のデータや論文からみても明らかです。

 

民主主義を採用し、新自由主義を導入しても豊かにらなかった。したがって、民主主義を捨て去るというわけです。

 

民主主義を捨て去っても新自由主義が残れば、豊かになれないかもしれない?

 

 しかし強権的な政治なら新自由主義を追い出すことも可能だ、という流れになるのです。

 

  • 格差の拡大

 

 かつて多くの国は、民主主義と新自由主義を導入しました。

 

必然的な帰結として格差も拡大します。富める者はますます富み、持たざるものは持たざるままという結果になってしまうのです。

 

民主主義は国民すべてが平等という概念で結ばれます。しかし、現実にはむしろ格差が広がり平等は失われました。

 

非民主主義で「平等でなかったとき」より、なお悪い状況が現出したとすら言えるのです。

 

平等ではないと諦めているときより、平等のはずなのに格差がある方がより人間は不満を抱きます。

 

  • 自由主義のパラドックス

 

 自由主義のパラドックスとは「自由主義でない場合は最適解が出せるのに、自由主義を導入すると最適解にたどり着けない」というパラドックスです。

 

 自由主義のパラドックスは1つの事実を示唆しています。

 

 民主主義は手続き的な正当性や公正さを担保し、結果の最適化ができない政治形態だということです。

 

 公正な手続きによっていつでも結果を間違えるなら――本当に民主主義はいいものなの? という疑問が浮かびます。

 

民主主義は「自分たちで選択できる」としつつ、そのメニューには「最適な選択肢以外」しか載っていないのかもしれません。

 

 う~ん、考えさせられますね。