以前私が勤めていた職場には、「喫煙ルーム」というものがありました。
ガラス張りの部屋で、通りがかる職員が中を見て、「またアイツこんな所で油を売ってやがる」などと言う目で見られたものです。
そんなある日、中途入職で入って来た同僚の職員が、「喫煙ルームで会う他部署の職員と喫煙をしながら、しばしの雑談をするおかげで、普段交流できない職員と知り合いになれて助かりました」と漏らしたことがありました。
テレワークが広まった今、以前のように仕事の合間に、雑談をして冗談を言い合ったりして、場の雰囲気が良くなり、その後の仕事の励みになったりという機会が減り、孤独感を感じる人が増えているといいます。
仕事の合間の雑談が、職場の人間関係の潤滑剤の役割を果たしていることが、コロナ禍のなかで再認識される動きが広まっています。
Dim Houさんによるpixabayからの画像
人材サービス大手エン・ジャパン(東京)は、在宅勤務中の社員同士が、インターネット上に設けた仮想オフィスで、いつでも雑談できるようにしています。
パソコン画面上の仮想オフィス内に自分を示すアイコンをおき、マイクをオンにしておけば、近くにアイコンを置いた同僚の声などが常時聞こえ、話しかけることもできます。
互いに話しかけのタイミングを計れるよう、アイコンに緑や赤のマークを付けることで、「話しかけてもいい」や「今は仕事に集中したい」という意思表示もできます。
入社2年目の宋錦伊(そん くみ)さんは「入社以来、在宅勤務だが、気軽に上司や先輩に声をかけられるようになり、仕事の話もしやすくなった」と笑顔で話します。
同社は昨年4月に一斉にテレワークを始めましたが、社員同士のコミュニケーションがとりにくくなりました。
一部の部署では朝夕にウェブ会議システムを使った雑談専用タイムを設けましたが、時間が限られる上、それ以外のウェブ会議では雑談をしにくい雰囲気になり、同年11月に仮想オフィスを導入したといいます。
担当の今村明則さんは「雑談には常に緩くつながれる環境が必要だと感じた」と話します。
とはいえ、最近の若者のなかには「雑談が苦手」という人も少なくありません。
そういう方々が混じれば、雑談で盛り上がるのも簡単ではないでしょう。
心理カウンセラーの五百田達成(いおた たつなり)さんは、
上手に雑談をするには、面白い話をしようなどと思わずに、とにかく会話のラリーを続けることがポイントだと話します。
内容は天気や時事ネタではなく、身近な経験談に自分の感情を交えて話すと、うまくいきそうです。
最初はぎこちなくても、話しているうちに、少しずつ相手と打ち解けるはずです。
沈黙を恐れずに挑戦してみることです。
昨夜、私は久しぶりに以前の職場の仲間と集まり、旧交を温めました。
仲間の一人が、「最近話すことに飢えているんですよ」と喋りまくっていました😊。