私は今、某NPO法人で週に2日ほどお手伝いをしています。
そのNPO法人の創始者の元理事長が、生前「将来、年を取っても楽しく生き生きと暮らせるグループホームのような施設を作りたい」と言っていたものです。
しかし夢半ばにして、若くして他界してしまいました。
超高齢化社会の日本、単身老人が周りとのコミュニケーションの乏しい中、孤独死を遂げるという、悲しい出来事が報道される度に、何とかならないものかと日頃から感じています。
Rnnny Overhateさんによるpixabayからの画像
先日、不動産会社会長の男性が昨年、資財を投じて、高齢者向けのアパートを建てたという記事を目にしました。
「人生の最後まで、生き生きと過ごせる場所」を目指したアパートには、連日住人たちの笑い声が響いているといいます。
以下、記事からの抜粋です。
さいたま市西区の静かな住宅街の中にある高齢者向けの賃貸ワンルームアパート「あかつき館」。
10月下旬の午後に訪ねてみると、全室が面する庭では70~80歳代の入居者たちがベンチに座り、飲み物を手に和やかに語り合っていた。
あかつき館は、不動産会社「バックアップ」(さいたま市南区)会長の碇⁽いかり)亮さん(74)が、一般社団法人「あかつき会」を発足させ、昨年末に建てた。同会が運営している。
碇さんがあかつき館を建てようと思い立った背景には、20年ほど前、母・多恵子さん(当時75歳頃)が口にした言葉がある。
「元気なのに、職員の許可がないと買い物にも出られない」。介護施設に入っていた多恵子さんが面会の際、寂しそうに話す姿が、ずっと心に残っていた。
多恵子さんは7年前に亡くなった。碇さん自身も高齢者になっていた。
高齢者の孤独死がテレビや新聞で報じられると「ひとごとではない」と思った。
「年老いても自分でできることは自分でしながら、誇りを持って生活でき、それぞれのプライバシーも保たれる」。そんな場として、アパートの建設を決めた。
総工費は土地代を含め約7500万円で、碇さんの資産から捻出した。
「親族だけで資産を分け合うより、将来にわたり社会に貢献できる物を残せたら」と考えたという。
あかつき館は全部で11室あり、11月9日現在、6人が住む。
住人たちは、あかつき会がポストに配布したチラシを見て入居を決めた人や、碇さんの会社で顧客だった人たちが中心だ。
入居者が様々な負担を感じずに生活し、自然に気遣い合えるよう、あかつき館には様々な工夫が施されている。
全室の窓から見える庭には11平方メートルの畑があり、入居者らが四季折々の野菜を育てて分け合う。
これまでにミニトマトやナスなどを栽培した。
畑のそばのベンチで誰かが一休みすれば、通りかかった別の入居者と緩やかに会話がはじまる。
今年の春から住む、畳職人の近藤一明さん(72)は「昔の長屋で暮らしているような安心感がある。一方でそれぞれの生活も守られており、住みやすい」と笑顔で話す。
1階に1人用の浴槽と洗い場が3室あり、交代で利用する。入浴時には部屋番号が書かれた札を浴室のドアに下げるのが決まりで、「もし体調を崩すなどして浴室から長時間出てこない人がいても、すぐに気づけるようになっている」(碇さん)という。
部屋は、フローリングが約4畳、畳敷きの小上がりが3畳の計約7畳で、入居者の男性(76)は「何をするにも手が届いて便利な広さ」と満足げだ。
「年金や生活保護だけでも暮らせるように」と、家賃4万5000円と定額の管理費8000円のほか、各自の電気代などに抑えられている。
経営的には十分ではないが、碇さんは「利益目的で運営しているわけではない。みんなが幸せそうなら、それでいい」と話す。
あかつき会は今後、同市南区にも同様のアパートを建てる予定で、来年8月頃の入居予定を目指している。
夫婦や兄弟で一緒に住めるよう、2人部屋も4室ほど設ける予定だ。
碇さんは「高齢者の孤立の問題は今後ますます深刻化するだろう。解決の一助となれば」と願っている。
(以上、読売新聞11月10日記事より抜粋)
すばらしい取り組みだと思いました!
しかしこのような取り組みは民間では限界があり、国や地方自治体が大いに参考にして、今後の取り組みに活かすべきだと思います。