団塊おんじ 人生100年時代を行く!

長く生きるかではなく、どう生きるかの試行錯誤録

幸せはお金で買えない

 少数の大金持ちと、生きていくのがやっとという多くの人達を生み出してしまった資本主義。

 

 衆議院選挙を乗り切って、岸田総理は新しい資本主義を目指すといいます。

 

 所得の低い女性たちが自殺を選んでしまうといった不幸な状況を、何とか脱しなければなりません。

 

 さて、一定の所得を確保しなければ生活が成り立ちませんが、お金はあればあるだけ幸せになれるのか?

 

 ノーベル経済学賞を受賞した経済学者のダニエル・カーネマン氏の大規模調査によりますと、アメリカで「最も幸福度が高い年収は7万5000ドル」。現在の日本円にして約850万円です。

 

 この金額を境に、幸福度は横ばいになるといいます。

 

 一方、大阪大学社会経済研究所の調査では、年収500万円までは、収入が増えるほど幸福度は上がりますが、そこから900万円までは横ばい。そしてなんと、年収1500万円以上は、金額が上がるにつれて幸福度は少しずつ下がっていくという結果です。

 

 内閣府の最新の調査でも、最も満足度が高いのは年収2000万~3000万円の層で、それ以上になると満足度はゆっくりと下降します。

 

 満足度が最も低い年収100万円未満の“貧困層”ほどではないにしろ、年収1億円以上の“最富裕層”の満足度は、世帯年収を10段階に分けた中で、下から5番目でした。

 

 いずれの調査結果をみても、お金がたくさんあるからといって、必ずしもそれだけでは幸せにはなれないという結果がでています。

 

 たくさんの収入を得るために、お金をめぐるトラブルなどが増えるのかもしれません。

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      Dim Houさんによるpixabayからの画像

 

 精神科医の樺沢紫苑さんによれば、脳科学的には、幸せは3種類あるといいます。

 

「幸福を感じているとき、さまざまな脳内物質が分泌されます。身の安全や健康が保たれていて『やすらぎ』を感じているときは“幸福物質”とも呼ばれるセロトニンが。人や動物と触れ合って愛情を感じるなど、『つながり』による幸せを感じると“愛情ホルモン”のオキシトシンが。

 

 そして、仕事で成功したり欲しいものを手に入れたりして『達成感』を得ると、“やる気の物質”のドーパミンが分泌されます。お金を手に入れたり、買い物をしたときの幸福感はこれにあたります」(樺沢さん・以下同)

 

 多くの日本人が想像する幸せは、この「ドーパミン的幸福」なのです。ドーパミンの持続時間は短く、たとえ大金を手に入れたとしても、その幸せは数か月しか続かないといいます。

 

「たとえば、30万円のバッグを買うと、大きな達成感、満足感を味わいます。もちろん、幸福な状態だといっていい。ところが、その幸福感は徐々に薄れていきます。そのうち飽きて、もっと高価なものが欲しくなる。ドーパミンは依存の原因物質なのです」

 

 持続時間が短く、くせになるからこそ、「あの幸福感をもっと味わいたい」という気持ちをかき立て、仕事や学業を頑張るモチベーションにつながるメリットもあります。

 

 しかしそれにお金が絡むと、金銭欲や物欲が際限なく膨れ上がり、稼いでも稼いでも満たされなくなる可能性があるということなのです。

 

【お金では買えない『つながりの幸福』】

 2011年の東日本大震災後、「絆」や「つながり」という言葉がキーワードとなりました。

 

 震災が人と人との助け合いやつながりの大切さが見直される機会になったことが、このキーワードに反映されていたのでしょう。

 

 こうした「つながりの幸福」は、決してお金では買うことができず、失って初めて気づくものなのかもしれません。