団塊おんじ 人生100年時代を行く!

長く生きるかではなく、どう生きるかの試行錯誤録

偏屈な鍵職人

 数日間実家に行ってきました。

 

 ここにきて父の老化に拍車がかかってきたようで心配になり、今回はまとまった時間を一緒に過ごそうと、やや長期の滞在となりました。

 

 また家が古くなり、いろいろなものに不具合が生じてきて、私ができる範囲の対応をするのが、今回の目的です。

 

 しかしその前に、問題が発生します。

 

 玄関の鍵が見当たらないと言うのです

 

 色々聞くと、どうやら外で落とした可能性は低く、家の中のどこかにありそうです。

 

  そうは言っても鍵がないと不便ですし、また同じようなことが起きかねませんので、スペアキーを作っておこうということになりました。

 

 また私がいってから、近所の人が訪ねてきたのですが、玄関で名前を呼ばれて最初は気付きませんでした。

 

 近所の人はしびれを切らしたようで、玄関のドアを開けて大きな声で名前を呼びかけてきました。

 

 そんなに広い家ではありませんが、普段は、訪ねてくる人がインターフォンを鳴らしてきますので、来客に気付きます。

 

 玄関に行って確かめると、やはりインターフォンのボタンを押しても音がならないことが判明しました。

 

 ただでさえ老夫婦は耳が遠くなっていますので、これはまずいので音が出るようにしなければなりません。

 

 調べて見ると、どうやら電池切れが原因のようです。

 

 驚いたことに、家を建ててから40数年が経つというのに、インターフォンの電池切れなど一度も経験がないといいます。

 

 翌日、スペアキーの作成と交換電池の購入を兼ねて、隣町まで車で出かけました。

 

 ネットで調べて、ホームセンターに行き、スペアキーの作成を頼みます。

 

 係員が鍵を見て、分厚いカタログを取り出し、調べてくれたのですが、カタログには元になる型番がないようです。

 

 そこで別のホームセンターを紹介され、そちらに移動して、同様に鍵の作成を依頼しました。

 

 しかし同様に調べてもらった結果、うちでは少しすり減った鍵のスペアを作るのは自信がないと言われました。

 

 しかし「鍵作成をしている専門店があるので、そちらに行ってみてはどうか」と言われ、「少し変わった人ですが、腕は確かです」と太鼓判を押されます。

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  S.Hermann&F.Richterさんによるpixabayからの画像

 

 場所を教えてもらい、移動しましたが、分かりにくい場所で、すぐには見つかりませんでした。

 

 そこで助手席に座る妻が場所を聞こうとし、電話をかけました。

 

 すると電話口に出た店主らしき人は、場所を尋ねようとした妻に「持ってくりゃ作ってやるよ!」とぶっきらぼうに言うなり、一方的に電話を切ってしまいました。

 

 この応対に妻も驚くやら、怒るやら大変です、「やはり言われた通り、変り者のようだね」と苦笑いをするしかありません。

 

 仕方がないので、ホームセンターの店員に教えてもらった目印を頼りに、再び探し始めます。

 

 20分近くグルグルと車を走らせて、ようやく店を探し当てました。

 

 店に入るや否や「寒いから、はやくドアを閉めて!」という声が飛んできます。

 

 鍵を渡すと、しばらく鍵を練目回した後、店内を移動すると小さな箱を取り出してきます。

 

 そして「1本2000円!3本だと6000円だけどいいの?」と言います。

 

 どうせ作るのであれば、私も1本持っておいた方がよいので、3本の作成を依頼したのです。

 

 ちょっと高い気もしたのですが、父に確かめて「はい、お願いします」と返事をかえすと、やおら作業を開始します、黙々とというより、作業の合間にため息とも吐息ともつかぬ声を発しながら作業をしています。

 

 どこか体調でも悪いのかとハラハラしながら作業を見つめましたが、手元の動きはキビキビとしていて、あっという間に3本のスペアキーを作ってしまいました。

 

 鍵を渡され、父が「領収証を貰っておいてくれ」というので、頼むと面倒くさそうに領収証を書き出しました。

 

 普段要求しなければ、領収証も発行していないのかもしれません。

 

 家に帰ってすぐに作成してもらったスペアキーを玄関のカギ穴に差し込んで確かめましたが、3本とも見事に開け閉めができました。

 

 紹介してくれたホームセンターの担当者が言うように、確かに鍵づくりの腕はいいようです。

 

 変わり者というより、偏屈な鍵職人という印象を持ちましたが、腕が確かなら「それでいいか」と変に納得した次第です😊。