団塊おんじ 人生100年時代を行く!

長く生きるかではなく、どう生きるかの試行錯誤録

デジタル化の遅れを取り戻せるか

 自粛宣言の解除にともなって、各飲食店はこれまでの売上の大幅減少から抜け出そうと、祈るような気持ちで奮闘しているようです。

 

 ただ、ピーク時に混雑したりすると、順番待ちの長い行列が「密」を招きかねません。

 

 山梨県・河口湖近くにある」ほうとう専門店「ほうとう蔵 歩成」は、週末には100組待ちとなることもある人気店です。

 

 昨年導入したシステムで、待合室の様相は一変しました。

 

 客は入り口のタブレットに入力すれば、店を離れて観光していても順番をスマートフォン上で確認できます。

 

 順番が近づくと「ご来店ください」と画面上で案内されるのです。

 

 待合室の混雑はほぼ解消されたといいます。

 

 以前は、客は順番待ちの用紙に記入して待つのみでしたから、待合室は常時すし詰め状態でした。

 

「お客の満足度は、料理を出す前にマイナスからスタートしていた」、と榎原誠専務(41)は振り返ります。

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      Gennaro Leonardiさんによるpixabayからの画像

 

 スマホのように手軽で高度なIT機器の普及は、デジタル化するビジネスの裾野を一気に広げました。

 

 小さな商店も巨大企業と同じような仕組みをわずかな出費で実現できるからです。

 

 東京・高円寺で1933年から続く銭湯「小杉湯」は、以前は番台の箱に現金を入れてもらうだけの「どんぶり勘定」でした。

 

 2019年に入れたシステムで、時間帯ごとの客数や商品の売れ行きを把握できるようになりました。

 

 混み具合を定期的にツイッターに投稿し、混雑を避けたい常連客から好評を得ているといいます。

 

 経営企画担当の菅原理之(40)さんは、「長年の勘に頼っていたビジネスを変え、100年を超えて続く銭湯にしていきたい」と語ります。

 

 日本の産業の生産性は2000年頃から停滞し、多くの国に後れを取っています。

 

 デジタル化の遅れが原因と指摘されてきましたが、大企業も変わり始めたようです。

 

 アサヒグループホールディングスは昨年、イタリアのローマ工場で主力ビール「スーパードライ」の生産を始めました。

 

 しかしコロナ禍で技術者は現地に渡れませんでした。

 

 そこで現地スタッフがカメラ付きメガネを通じて作業の様子を映像と音で日本に送り、東京の技術者が画面越しにアドバイスを重ねました。

 

 総務省は日本企業のデジタル化が米国並みに進んだ場合、売上高が約68兆円押し上げられると試算しています。

 

 ワクチン接種でも、当初接種開始が大きく遅れましたが、現在は米国を追い抜くまでに接種が進みました。

 

 それと同様、デジタル化の遅れを一気に挽回できるのか、9月1日のデジタル庁発足を機に、官民挙げて集中して取り組んでいってもらいたいものだと思っています。