日本で完全に自給できている唯一の食料がコメです。
自給率は97%ですが、これは民間企業が米を安価に輸入できないように、関税非課税のミニマムアクセス枠を国家貿易で独占しているため、そのことを他国から非難されないために、実際に一定量の輸入をする必要があるからです。
このように国家により大切に守られてきたコメですが、近年コメ余りが深刻だといいます。
私はこのニュースを聞いて、若い世代がパン食に移行し、コメを食べなくなったからだと最初は想像しました。
ところが実際にコメ余りの最大の原因が、高年齢世代がコメを食べなくなったからだと知って驚きました。
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新潟大学の青柳斉名誉教授らの調べによると、2001年の20代のコメの消費量を100とした場合、2008年に20代は変わらずほぼ100近く、15歳~19歳も2001年が120強でしたが、2008年にも120強で若い世代は現状維持でした。
ところが60代でみると、2001年には110強で20代より消費量が上回っていたのが、2008年には85と大幅に落ち込んでいます。
70代についても10%以上減少しています。
コメを食べなくなった分、小麦製品や肉類の消費が増えているといいます。
我が家の場合も朝はご飯を食べていますが、娘はパン食なので、私と妻の分のご飯を炊きますが、コメ0.7合に、もち麦0.3合をブレンドし、1合炊いていますが、それでも食べきれなくて余ってしまいます。
近年は様々な健康情報を参考にして、炭水化物を控えて、野菜や肉・大豆類などを意識して摂るようにしていますから、勢いコメの消費は減ってしまうのが現実です。
江戸時代には“1人1日5合”のご飯を食べていたと言いますから、日本人の食のスタイルも大きく変わってきているのを実感します。
ただ日本のコメ文化は大きく変わるものではなく、加工品を含めて、栄養価の高いコメの活用には、これから工夫が必要なのでしょう。
農水省はすぐ消費を回復させるのが難しいと判断し、水田の5%(約6万7千ha)を主食用以外のコメか、別の作物に切り替えようと各地の意見を聴取しているようです。
食料自給率の低い日本、農地の転用の可否を含めて、農業関係者の知恵を総動員して、工夫を凝らしてほしいものだと思います。