団塊おんじ 人生100年時代を行く!

長く生きるかではなく、どう生きるかの試行錯誤録

「非正規」好きになれない言葉です

いつの頃からか、このいやな用語が使われ出しました。

 

 調べてみると、1980年代後半から使われ出したようです。

 

 昔は「学生アルバイト」や「主婦パート」という言葉にみられるように、家族の誰かに経済的に扶養されていて、低賃金で有期雇用であっても生活には困らない働き手が、正社員以外を構成していたのです。

 

 ところがフリーターと呼ばれた「自由な働き方」を選択する人達が出現したのと呼応するかのように、労働者を保護するべき「労働法」の基準が緩められ、「正規と非正規」といった分けられ方が許されるようになりました。

 

 その後、非正規職では食べていけない現状は放置されたまま、みるみるうちに非正規の働き手が増殖してきたのです。

 

 また企業ばかりでなく、公務員までもが臨時雇用・準公務員などという都合の良いルールを考え出して、通常の公務員とは処遇条件で明らかに見劣りする働き手を増やしてきています。

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  Ralf Kunzeさんによるpixabayからの画像

 

 正社員と呼ばれる社員は、労働組合に不当な扱いを受けないよう守られていますから、業績が低迷したからといって、経営者は簡単に社員を解雇はできません。

 

 最近でこそ様子は変わってきましたが、正社員以外の非正規の働き手は、真っ先に「整理解雇」の標的となってきました。

 

 そしてコロナ禍のなかで、非正規で働いてきた人達が、職を失うことが社会問題化しているのが現状なのです。

 

 コロナ禍以前の2018年に成立した「働き方改革関連法」では、正規と非正規雇用社員の不合理な待遇差をなくすために「同一労働同一賃金」の適用が盛り込まれました。

 

 改めて考えてみれば、「仕事の内容」や「責任の程度」が同じなのに、給与面・待遇面に差がついていること自体が不自然で、「同一労働同一賃金」は当たり前です。

 

 それを転勤や異動の有無などを理由に、正社員とそれ以外の社員を区別しようとしてきたのです。

 

 オランダなどでは、職務給(仕事の内容と報酬がリンクしている給与)が以前から定着していて、社員それぞれの私的な事情にあわせて働き方を決めることができ、時間あたりに換算した報酬はほぼ差がないといわれ、日本が今ごろ「同一労働同一賃金」などと騒いでいるのをみると、不思議に感じられるのではないでしょうか。

 

 正社員以外の賃金コストを固定費ではなく、変動費扱いにして、そうしなければ組織を維持できないというのであれば、早晩市場から撤退せざるを得ないと考えるべきなのではないでしょうか。

 

「同一労働同一賃金」が今月から、中小企業にも適用されます。

 

 一人でも多くの働き手が、やりがいを感じながら、仕事に打ち込んでいけるような方向に進んでいってほしいものです。