団塊おんじ 人生100年時代を行く!

長く生きるかではなく、どう生きるかの試行錯誤録

新たな“時間どろぼう”との闘い

 今、児童書・絵本が売れているようです。

 

 コロナ禍のなか、学校の休校や幼児の休園により、家にいる時間が多くなったりしているせいでしょうか。

 

 児童書・絵本といっても子供が読むものとは限らず、大人が読んでも考えさせられたり、含蓄を与えてもらったりという本がたくさんあります。

 

 私も娘が小さい頃に、読み聞かせてあげた絵本がありますが、その絵本が今でも売れていると知ると、何か懐かしい思いに駆られます。

 

 なかでもドイツの児童文学作家ミヒャエル・エンデの「モモ」が再び売れているようです。

 

 この本は子供に読み聞かせたというより、私自身が興味深く読んだ本でした。

 

 物語は、人間なら誰もがつねに意識する「時間」がテーマとなっています。

f:id:dslownin:20201018103700j:plain

       Mabel AmberさんによるPixabayからの画像

 

 以下のようなあらすじです。

(アルペジオさんのあらすじ・書評ブログより抜粋・引用させていただきます)

 

時間どろぼうと、盗まれた時間を人間に取り戻してくれたモモの不思議な物語。

人間本来の生き方を忘れてしまっている現代の人々に「時間」の真の意味を問うエンデの名作です。

 

とある大都会の町はずれ、劇場が寂れた廃墟に突然謎の少女があらわれます。

 

髪はボサボサ、服は体にあっていない。足の先まで汚れています。

 

決して清潔とはいえない見た目をしています。

 

少女はモモと名乗りました。それ以外何もわかりません。

 

得体の知れないモモですが、廃墟の付近に住む人々は、皆モモを慕っています。

 

モモの近くにいると、不思議な力が湧いてくるのです。

 

楽しい遊びや楽しい話しが浮かんできます。

 

人々はモモのために、廃墟の舞台下を住みやすいように整えてあげました。

モモがみんなに好かれるのは、きっと、モモがいつでもモモだからです。

 

「いくら前のことを思い出しても、私はすでにもういたもの」

「ここが私のうちだもの」

 

人々はモモにいろいろ質問をしてみますが、モモはあっけらかんと答えます。

 

自分は自分。何にも惑わされないモモ。

 

そんな姿が、人々を安心させたのでしょう。

 

モモがあらわれてから、平和で楽しい日々を過ごしていた人々でしたが、

「時間どろぼう」の出現により、その生活は奪われます。

 

 時間どろぼうたちは「時間貯蓄銀行の外交員」を名乗り、人々に、時間を貯蓄することをすすめます。

 

人々が、どれほど無駄な時間を使っているかを数字で示し、時間を節約させ、余った時間を奪っていくのです。

 

 時間を節約すると、どうなるでしょう。

 

丁寧に接客し、仕事をしていた時間は、手早く、ぶっきらぼうに済ませてしまいます。

 

 面倒を見ていた家族を、あっさり施設に入れてしまいます。

 

 ペットの世話をする時間を省くため、ペットを売って手放してしまいます。

 

 本来なら大切なはずの時間を、皆、無駄だと思い込み、どんどん削っていってしまうのです。

 

 そんな時間どろぼうたちの企みに、唯一惑わされないのがモモでした。

 

 モモは、人々がせかせかし、変わってしまったことに戸惑います。

 

 それでもなんとか、モモはモモでありつづけたのです。

 

 そんなモモを、時間どろぼうたちが、ほうっておくはずがありませんでした。

 

 どろぼうたちの追跡を逃れ、モモは「時間の国」へと案内されます。

 

 人々の時間を取り戻すための、モモの孤独なたたかいがスタートします。

 

【時間とはいったい何なのか?】

 時間は、だれにとっても身近なものですが、決して操ることはできません。

 1日は24時間と決まっていて、のんびり使うことも、切りつめて使うことも

できます。

 

 『モモ』では、時間を節約して無駄をはぶくことで、人々は皆、不愛想で温かみのない人間になっていきます。

 

 これは、現代の生活のなかでも当てはまることだと思います。

 

 時間に追われて生活すると、なにか大切なものを見失っていくような気がします。

 

 ゆったりと過ごすと、ふだんは気付かなかった景色や、身近な人の変化にも

気づけたりします。

 

自分の時間の使いかたはこれで良いのかな?

 

 無駄に使っていると思う時間も、実は大切な時間なのでは?

 

 「時間」という不思議なものについて、立ち止まって考えるきっかけを、

『モモ』から、あたえてもらいました。

 

現実的なテーマに思えますが、ファンタジーや冒険的な要素もあり、ワクワクしながら読み進めることができます。

 

作中に登場する挿絵もすべて作者自身が手掛けており、読み手の想像を豊かなものにしてくれます。

 

 ぜひ幅広い世代の方に『モモ』の世界を楽しんでいただきたいです。

  (以上、アルペジオさんのあらすじ・書評ブログ 

            より抜粋・引用させていただきました。)

 

【新たな“時間どろぼう”の出現】

 今回のコロナ禍のなかで、子供たちや学生は入学式・卒業式を省略されたり、様々な楽しみにしていた行事が中止になったりして、彼らの青春の思い出づくりの1頁1頁を作成することが出来なくなってしまいました。

 

 思い出づくりの時間を持てなかった、つまり新たな形での“時間どろぼう”に襲い掛かられたのです。

 

 我が家のことでいえば、コロナ騒動直前に施設に入った義母との面会時間を奪われました。

 

 いつまで続くのか先の見えないコロナウィルスへの対応ですが、これからの時間をどのように工夫して過ごせばよいのでしょうか。

 

 集まれないけれども、つながりを保っていけるような工夫をして、乗り切っていかなければなりません。

 

 

モモ (岩波少年文庫)

モモ (岩波少年文庫)