今、アメリカ各地でコロンブスの銅像が相次いで破壊されているようです。
黒人男性ジョージ・フロイドさんの死をきっかけに全米で人種差別批判が強まっていますが、今度は批判の矛先がアメリカ大陸を発見したクリストファー・コロンブスに向かった格好です。
ここ数年は、コロンブスの米大陸到達を記念した「コロンブス・デー」の祝日をやめて、コロンブスをはじめとした欧州の探検家が先住民に与えた苦難をしのぶ「先住民の日」に置き換える自治体も増えているといいます。
米国の人々が差別や虐待に対して、良識を働かせ始めた流れが秋の大統領選挙につながっていくのでしょうか。
かつての「大航海時代」といわれた時代の欧州では、ポルトガル、スペインなどを始めとして、こぞって未開の地の発掘とその地の植民地化競争に奔走しました。
彼らに侵略され、支配された地では、米国で起こった差別や虐待と同様のことが行われた歴史があるはずです。
例えばインドを植民地化したイギリスは、インドで産出したアヘンを中国に持ち込み、中国を骨抜きにしようとして「アヘン戦争」を起こしました。
この戦争に勝利したイギリスは、1842年に南京条約を締結し、香港の割譲などの権益を得ます。
百有余年経ち、1997年には香港が中国に返還されましたが、中国は「一国二制度」を唱え、返還から50年は香港で中国とは異なる政治や経済の制度を保証するとしました。
しかし、その約束も心もとないものへ変わろうとしています。
そしてかつて欧米列強国に痛めつけられた中国は、アフリカ諸国において同じような行為を行おうとしています。
やれやれと思ってしまいます。
しかしながら、我々も他国のことをとやかく言える立場にはなく、かつて蝦夷地での先住民であるアイヌの方々に対して行った「差別や虐待」は同類の行為であったことを忘れてはなりません。
東大薬学部教授で脳研究者の池谷裕二さんは、『人は、自分は正しいと思い込む「脳のクセ」を持っている』といいます。
『人は自分を、平均よりも公正で能力があると思いがちです。いじめや差別がなくならないのは、脳には「平均以上効果」があり、多くの人が「自分を不公平な人間」とは思わないからだ』とも言っています。
そういえば彼の地の「白人至上主義者」たちも、自分たち白人は他の人種よりも能力があり、不公正な人間ではないと思っているのでしょうか。
米中の対立をみても、このコロナ禍の最中に、変な脳のクセを発揮して、いがみ合っている場合ではないと思うのですが…😢