【格差への不満が沸点に近づこうとしている】
自由の国アメリカで、社会主義に共感する若者が増えているようです。
米大統領選の民主党指名争いで大企業を敵視する急進左派の勢いが目立っているというのです。
その背景には「格差への不満」があります。
そんな中、昨日、世界の富裕層のトップ2100人の資産額が、世界の6割を占める46億人の資産額を上回るというNGO調べの結果が公表されました。
「格差ここに極まれり」といった報道内容です。
なかでも米国の格差は、日本や欧州と比べて突出しています。
OECDの統計では、上位5%の富裕層が保有する資産の割合は、米国の68.1%に対し、ドイツが46.3%、フランスが37.3%、日本が27.7%です。
【アメリカン・ドリームは昔話に】
米国の若者は「今の社会ではアメリカン・ドリームが遠い昔の話になった」と考えています。
家と車を持ち、子供二人を大学に通わせる―。かつてそれは米国の典型的な中流家庭の姿でしたが、家賃や医療費、教育費の高騰で、そんな将来像も見通せない状況なのです。
また、学生ローンによる債務の増加も社会問題化しており、人口のほぼ7分の1にあたる約4500万人が学生ローンの返済に追われています。
学生ローンの負債総額は、2006年からリーマンショックを経て3倍以上に急増し、クレジットカード負債を上回り、住宅ローンに次ぐ大きな負債になっているといいます。
学生ローンの緩和策は、大統領選の民主党指名争いで主要争点の一つになっています。
大企業や富裕層を敵視する急進左派の候補が「金持ちから集めた資金を分配し、学生ローンに苦しむ人々の負担を減免する」との主張を掲げ、若者らの指示を集めているようです。
民主党指名争いでは、バーニー・サンダース氏やエリザベス・ウォーレン上院議員が格差問題を正面に掲げる「急進左派」が高い支持を集めています。
とはいっても、両氏のどちらかが民主党大統領選候補になれるかも分かりませんし、なったとしても共和党トランプ氏を倒せるだけの勢いには、今のところならない気がします。
ただ、学生ローンや格差の問題を放置し、手をこまねいていると、若者が社会主義に共感するうねりが益々広っていくような気がします。
2019年11月のギャラップ社調査によれば、18歳~34歳の社会主義を肯定的にとらえる若者は、52%と否定的にとらえる47%を上回っているのです。
このような意識の変化を「馬鹿げている」などと侮っていると、近い将来、予期しなかったような変革が起きないとも限りませんね😢