【いろいろな理由でマスクをする】
季節柄、街中を歩いているとマスクをつけて歩いている人が増えてきました。
私はマスクをつけるのがあまり好きではないので、めったにつけません。
ただある時、突然花粉症になってしまい、花粉の時期だけはマスクをつけるのですが、電車内でマスクをつけて活字を読もうとすると、眼鏡が曇ってしまうので、すぐに外してしまいます😊。
風邪予防のためマスクをつけることは、周囲への配慮で必要なことは分かります。
ただ最近では、季節を問わず、四六時中マスクをつけている人が増えているような気がします。
また以前はマスクといえば白色と決まっていて、数年前に中国の人が布製の黒色のマスクをしているのを見た時には、ちょっと違和感を覚えた記憶があるのですが、最近では日本でも若い人を中心に黒色や灰色のマスクをしているのをよく見かけるようになりました。
白より汚れが目立たないというメリットもあるようですし、もはやマスクにファッション的要素を求めるようになったのかもしれません。
【中学生の投稿】
そんな折、新聞の投稿欄で13歳中学生の「マスク依存しすぎは疑問」という投稿が目に留まりました。
内容は、「最近、風邪や感染症予防などの目的以外でもマスクをつける「マスク依存」という言葉を、耳にするようになった。
周囲への配慮ということもあるのだろうが、その人の表情や気持ちまで隠してしまうから、気持ちよくコミュニケーションを行ううえで障害になってしまう」というものです。
【心の問題を抱えていない人がマスクをするように】
マスクをつける理由は人によっていろいろあるのでしょうが、専門家の指摘をみると、社交不安障害の方はよくマスクをして来院されるといいます。
社交不安障害とは、対人恐怖症として古くから知られている病気のようです。
しかし最近では、特に心の問題を抱えていない方がマスクをして、そのマスクに依存している“マスク依存症”が増えているといいます。
その方たちにマスクをしている理由を尋ねると、不安障害の方と同じように「人からの視線を少し軽減できる気がする」「自分がどういうふうに見られているかを意識しなくてすむ」とおっしゃいます。
これは、マスクをそもそも着けようと思っていない方が、何らかの機会にマスクと出会い、上記のような効果を感じてマスクを手放さないようになっているということのようなのです。
【マスクをつけることによる弊害】
人の非言語的コミュニケーションは、おもに目と口元で行われます。
この2つの部分で、その人が喜んでいるか、怒っているか、悲しんでいるかなどの大部分の感情を推測しながらコミュニケーションをしているのです。
しかし、マスクをしてしまうと、口元が隠されるわけですから、通常のコミュニケーション効果の半分が失われてしまいます。
また、マスクをつけていると、他人から「感情が読めない」「何を考えているかわからない」という印象を持たれやすくなります。
そのため、親しみやすさが減り、良好な人間関係を築くうえでマイナスとなってしまいます。
特に初対面のときに、マスクで口元が見えないと、顔のインパクトがなくなり、顔を覚えてもらえない、安心感が生まれないといった問題が生じます。
相手と話すときは、マスクを外してコミュニケーションをとったほうが、良好な人間関係が築けます。
【マスク依存症を治すには】
社交不安障害の治療には、心理療法として「エクスポージャー法」というものを用います。
これは、あえて不安な場面に直面し続けることで、その不安感を克服していく方法です。
マスク依存症の人にも、同じような方法を用いることができるといいます。
ただ、このとき注意をするのは、たんにマスクを外すのではなく、自分が避けたいと思う場面にあえて挑戦することです。
例えば、窓口でのクレーム対応、苦手な取引先との交渉、上司との会話、会議でのプレゼンテーションなどのときに、相手の顔をしっかりと見るということが大切になります。
繰り返しこのような方法を実践することで、マスク依存症は必ず克服できると専門家はいいます。