団塊おんじ 人生100年時代を行く!

長く生きるかではなく、どう生きるかの試行錯誤録

人口減少は本当に危機なの?

【歯止めのかからぬ人口減少】

 総務省は今年1月1日現在の人口を発表し、減少幅が1968年の調査開始以来最大の43万人減の1億2477万6364人となったと報じられました。

 

 相変わらず“東京一極集中”に歯止めがかからず、人口の減っている地方自治体関係者はますます危機感を募らせています。

 

 そういえば2014年に「日本創生会議」が公表した、いわゆる「増田リポート」を思い出します。

 

 896の自治体の名を挙げて、2040年には教育・行政などのサービスの維持が難しい「消滅可能性都市」になるとして、自治体関係者に衝撃を与えました。

 

 あれから5年が経ちますが、これといった決め手がないまま時間ばかりが経過した感があります。

 

 政府も2020年までに東京圏への転出入を均衡させるとの目標を掲げていましたが、今月あっさりと目標達成を断念しました。

 

【ちょっとした疑問】

 このように人口減、東京一極集中が加速化しているのは、本当に憂慮すべきことばかりなのでしょうか?

 

 地方には点ではありますが、あちこちで地域を盛り上げようとする若い方々の果敢な挑戦も進行しています。

 

 

【大した問題ではないという学者がいる】

 なんとなく疑問を持ち調べてみると、人口減少は大した問題ではないとする論を打ち出している知識人がいることが分かりました。

 

 経済学者の高橋洋一氏です。

 

 彼は著書『未来年表:人口減少危機論のウソ』(扶桑社新書)の中で、次のように語っています。


 人口減少問題は「大した問題ではない」。


 国力を国内総生産(GDP)と定義すると、「GDP=みんなの平均給与✕総人口」となる。


 人口が減るとGDPも減るのは当たり前だが、実生活では「だからそれがなんなの?」という話に過ぎない。


 なぜなら人口減少は、GDP成長率に対して最大7%の影響がでるかどうかの程度に過ぎず、ほとんど影響はないからだ。


 たとえば人口減少が経済にマイナスに作用する「人口オーナス」は、女性や高齢者の積極登用やAIによる生産性向上によって回避できる。


 さらに、ひところはやった「デフレは人口減少が原因」説にも根拠がない(むしろデフレは金融緩和で解決できることが、アベノミクスによって実証された)。


 そのうえで、出生率の推計や人口減少の動向も「想定内」に収まっており、「まあ人口は減るだろうが、出生率もこれからほとんど横ばいだろうから、社会保障の設計には支障は何もない」というのが、高橋氏の考えです。


 それでは、大した問題ではないはずの人口減少が、なぜこれほどまで「危機」とされるのか。


 高橋氏は、人口が減り続けたら困るのは地方公共団体の関係者だとみています。


 なぜなら人口が減ると、行政規模の簡素化のため市町村を合併しなければならないからです。


 また人口減少の危機を煽る批評家達も、なんでも人口減少のせいにすれば、誰も傷つかないので、いい方便になるといいます。


 こうした人たちは、人口減少の危機を声高に訴え、本を売り、名前を売り、政策を売りこむことができます。


 高橋氏によれば、実は政府も「人口増加のストーリーを地方公共団体の関係者に示しておけば、彼らはきっと満足するだろう」というのが本音であり、出生率が上がらず、人口問題政策が失敗しても、何らダメージがないといいます。


 それは政府が「人口減少は大きな問題ではない」と考えているからであり、働き方改革や子育て安心プランなどの少子化対策も、「(人口減少を不安視している)国民の要望に応える」という政治的な意味があって取り組んでいるに過ぎないのだとのことなのです。


 要するに少子化対策や人口減少対策は、人口減少危機論に煽られた国民の不安に応えるポピュリズム的政策にすぎないと言っているわけです。


 公務員改革やアベノミクスの懐刀と目される高橋氏の発言だけに、注目に値します。


 人口減少が日本の危機なのか、そうではないのか、判断をする能力は私にはありませんが、今の若い方々が路頭に迷うような国にだけはなって欲しくありませんね😊。