団塊おんじ 人生100年時代を行く!

長く生きるかではなく、どう生きるかの試行錯誤録

人に認められたい、世間に認められたい

【認められたという欲求】

  外食店の現場で食品にいたずらをして、動画をSNSに投稿する騒ぎが相次ぎました。

 

 世間から非難を浴びる行為ですし、理解に苦しむ所業です。しかし行為の背景に「認められたい」という欲求があると言われると、合点が行く気もします。

 

  この「認められたい」を心理学では「承認欲求」と言います。

 

 承認欲求とは「自分が価値のある存在だと認めたい」欲求です。

 

他者からほめられれば気分がいいし、頑張って結果がでれば自信にもなります。これは承認欲求のプラスの面です。

 

しかし認められない時には、認められている人を羨んだり嫉妬したりという気持ちになる場合があります。また意地や面子といった屈折した形で現れ、認められようとする時には他人に迷惑かけることもあるのです。

  

 

 【政財界を揺るがした大事件】

  最近でも企業の不祥事が相次いでいますが、平成のはじめに起きたリクルート事件は、政財界を巻き込み、時の政権をも転覆させた一大スキャンダルでした。

 

リクルート創業者の江副浩正氏が中心となり、政財界の要人達に、未公開株の不正譲渡や献金を行なったことが発覚、竹下総理も辞任に追い込まれたのです。

 

この江副氏が起こしたリクルート社は、それまでのビジネスモデルにはない「情報を売る」という事業で急成長します。

 

その経営者としての発想は、ソフトバンクの孫正義氏をして「尊敬に値する」と言わしめています。

 

  産業界に存在感を増す中で、ある時、財界の総本山・経団連の会長から「君たちのやっていることは虚業だ!」と言われます。

 

  当時は財界の中枢は、重厚長大産業のトップが牛耳っていて、彼らの目からはリクルート社の事業は「いかがわしい」ものと映っていたのでしょう。

 

  何とか自分達の行なっている事業の地位向上を図りたいという欲求が、歪んだ形であの事件へと繋がっていきました。

 

 当時の江副氏達の行為は、「世間に認められたい」から「認めさせたい」という強引で歪んだ形へと変化してしまったのです。

 

 今にして思えば、江副氏達がこんな行動に出なくても、日本の産業構造は重厚長大の二次産業から、情報・サービスを含めた三次産業へと移っていきましたから、彼らの画期的な新たな事業は世間から自然に認められたのです。

 

 現にリクルート社は江副氏亡き後も、大勢の優秀な人材を輩出する情報サービス産業界の雄として、確固たる地位を築いています。