団塊おんじ 人生100年時代を行く!

長く生きるかではなく、どう生きるかの試行錯誤録

町のカウンセラー

【聴き上手な魚屋の大将】

 近所の魚屋さんが店を閉めることになりました。

 

 スーパーに比べるとちょっと値段が高いのですが、新鮮な魚を揃えていて、
「今日はおいしい魚が食べたい」となると、その店に出かけていったものです。

 

 行くと必ず近所の主婦が魚屋の大将と話をしていました。

 

 大将は聴き上手で、主婦たちの愚痴やよもやま話を微笑みながら受け止めています。

しかし新しい客が来ると、うまく話を中断させて新しい客の求めに応じます。

 

 主婦が複数人集まると、買い物を終えてからも店の脇の方で、おしゃべりをして過ごしています。

 

 今では街中でのこのような社交の場は、めっきり少なくなりました。

 

 魚屋の大将は、さしずめ町のカウンセラーです。主婦たちの話をやさしく受け止めて、彼女たちの人気者でした。

 

 最近ではどこの町でもスーパーが日常の買い物の中心になってしまいました。列を作っているレジで長話をするわけにはいきませんから、主婦たちも買い物を終えれば、そそくさと家路につかざるをえません。

 

 

【寂しい知らせ】

 そんな時に魚屋が店をたたむという噂を妻から聞いたのです。

 

 どうやら大将の病気が理由のようです。

 

 店をたたまなければならない程ですから、重い病なのでしょう。

 

 小さなお店は、大黒柱が欠けると店を閉じざるをえないというのは、厳しい現実です。

 

 店の前を通りかかると、大将が浮かない顔で黙々と仕事をこなしていました。

 

 また一つ町中の社交の場が消えていくのかと思うと、一抹の寂しさを感じてしまいました😢。